北朝鮮の核実験とインド・パキスタンの核実験についての書簡

北朝鮮の核実験とインド・パキスタンの核実験についての書簡

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
外務大臣 麻生 太郎 様

2006年10月11日

2006年9月6日に48市民団体が小泉元総理大臣に「原子力供給国グループの対印原子力貿易規制撤廃に反対することを求める」要望書を送りました。

10月9日に北朝鮮が核実験を発表したことによって、要望書の内容は一段と重要になりました。北朝鮮に、インドの核実験に対する非難が一時的であったという印象を絶対に与えてはなりません。日本政府は、核兵器を持つことと核実験を行うことは、どの国であっても、許してはならないことだという姿勢を断固して保つべきです。

アメリカはインドを例外にしたかったようですが、米・印原子力協力の話が表面化してからすぐ、インドと同じく1998年に核実験を行ったパキスタンも原子力貿易規制の撤廃を求めました。このごろパキスタンと中国との間で、原子力協力の話が少しずつ具体化してきているようです。こうしてインドとパキスタンに対する姿勢を緩くしたことは、北朝鮮の核実験の直接的な原因ではなくても、北朝鮮に勇気を与えたでしょう。例外は一カ国に止まらず、必ず広がるという前提で国際的なルールを守らないと、取りかえしの付かない核拡散問題を招きかねません。

私たちは日本政府に、例外を作ることなく核不拡散体制を維持することを求めます。北朝鮮の核実験を非難すると共に、アメリカと中国にインドとパキスタンを例外扱いしないように働きかけることを求めます。そして繰り返し、原子力供給国グループの対印原子力貿易規制撤廃に反対することを重ねて求めます。