[新刊リーフレット]原発で地球温暖化を防ぐ……それってほんとう?
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[リーフレット]原発で地球温暖化を防ぐ……それってほんとう?
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※以下はリーフレットの本文です。
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■地球温暖化を原発で防止するというけれど…
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地球は今、温暖化が進んでいて、さらに進めば地球上の各所でさまざまな被害をもたらすと心配されています。
地球の温暖化は、温室効果がその大きな原因だと考えられています。地球をとりまく大気中の水蒸気や二酸化炭素(炭酸ガス、CO2)、メタン、フロンなどの温室効果ガスは、太陽から地球にやってくる光は通しますが、太陽光で暖められた地表から出ていく熱は逃がさず、その一部を大気の層の中に残してくれます。そこからまた地表へと熱の一部が再放射されるのです。ちょうど温室のような働きをして、地球が酷寒の世界になるのを防いでくれています。
ところが、大気中のCO2などの量が増えてくると温室効果が効き過ぎてしまう、というのが地球の温暖化説です。このままでいくと、21世紀末には地表の平均温度が1℃から6℃くらい上がると言われます。
この温暖化を防ぐいちばんよい方法は、エネルギー消費を少しでも減らしていくことです。しかし政府や電力会社は、省エネと言いながら本気ではなく、「原発が地球温暖化の防止に役立つ」と宣伝しています。それって、ほんとうでしょうか?
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■原発はCO2の発生が少ない?
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原発が温暖化防止に役立つとされる理由は、温室効果ガスであるCO2を少ししか出さないと考えられるからです。しかしそれも、原発で燃やした後の使用済み燃料や放射能のごみの後始末をどれくらいきちんとするかで、ずいぶんと違ってくるでしょう。何十万年もの間、放射能のごみを安全に管理しつづけようとすれば、厖大な量のCO2を出すことにだってなるかもしれません。
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■原発を増やせば火力発電所を減らせる?
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放射能のごみの後始末は地下に埋めておしまいにするなら、確かに原発が出すCO2は少ないでしょう。仮にそうだとしても、温暖化防止に役立つには、原発を増やせば火力発電所(火発)が減るのでなくてはなりません。ところが、そうはなりません。原発をやめていく社会が火発も減らしていこうとする社会であるのに対して、原発を増やしていく社会は、火発も増やす社会なのです。
原発は小回りがきかず、フル出力で動かすか運転を止めるかのどちらかしかできません。刻一刻と変化する電気の需要に合わせて供給するには、小回りのきく他の発電所が必要となります。
おまけに原発はエネルギー供給源としてはきわめて不安定で、事故や送電系統のトラブルなどでひんぱんに停止します。多数の原発のいっせい停止や長期停止も珍しくありません。そのとき、他の発電所がすぐに出力を上げて助けてくれなければ、大停電となります。
この2つの点で、原発を増やすときには他の発電所も増やすことが必要になるわけです。
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■原発は他の温暖化対策より効果的?
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1997年に京都で開かれた第3回気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)に向けて日本政府は、2010年度までに原発20基を増設することを対策の1つの柱としました。現実には5基しかできそうにありませんから、およそあてにならない対策だったと言えます。しかも既にある原発にしても、いっせい停止や長期停止があるのですから、原発が有効だとして数字上の辻つま合わせに使うことの無意味さは、はっきりしています。
原発に頼った温暖化対策は、本来行なうべき対策を遅らせ、むしろ温暖化を進めてしまうと言えます。エネルギーの効率的利用、自然エネルギーの活用、交通・都市政策などなど、原発をつくるよりコストが安く、CO2の排出抑制や温暖化影響の軽減の効果が確実で早くあらわれる対策が、いくらでもあるのです。
原発にたくさんのお金を注ぎ込んでしまえば、そうした有効な対策が進められません。さらに、原発を柱とした温暖化防止対策は、エネルギーの大量消費がこれからもつづけられるとの誤解を与え、エネルギーと環境の問題を本気で考えることの邪魔をします。その意味でも、地球環境の悪化を進めることになります。原発に頼っていては、持続可能な社会は実現できません。
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■原発から出る放射能は安全に管理できるの?
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そもそも放射能を生み出す原発が、地球環境にとって好ましいものであるはずはありません。「放射能は安全に管理できる」と政府や電力会社は主張していますが、気体や液体の放射能ごみは環境に排出され、周辺地域を汚染しています。固体の放射能ごみは地下に埋め捨てられます。やがて容器は壊れて放射能が漏れ出してきます。原発や放射能ごみの処理・貯蔵・処分施設で大事故があれば、大量の放射能がたちまち環境に放出されます。
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■温暖化も放射能もない未来を!
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私たちは、地球温暖化による被害も、放射能災害も望みません。地球温暖化を防止するには、脱原発による「小エネルギー社会」実現への政策転換が最も健全・確実で有効であると考えています。そのための努力を不断につづけていきます。会員となって共にご協力いただけたら幸いです。
◎もっと知りたい方におすすめ
・温暖化について
気候ネットワーク編『よくわかる地球温暖化問題[改訂版]』(中央法規、2004年)
・原発について
西尾漠『新版 原発を考える50話』(岩波ジュニア新書、2006年)
・エネルギーについて
槌屋治紀『調べてみようエネルギーのいま・未来』(岩波ジュニア新書、2003年)
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■会員になってください
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毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々と、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費に支えられて私たちは活動しています。
どちらの会員にも、『原子力資料情報室通信』(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けいたします。
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