プルトニウム(MOX)の取出に際しあらためて六ヶ所再処理計画の放棄を求める

原子力資料情報室通信390号(2006/12/1)より

プルトニウム(MOX)の取出に際しあらためて六ヶ所再処理計画の放棄を求める

2006年11月17日
原子力資料情報室

 11月16日、六ヶ所再処理工場でプルトニウム(MOX)が生産された。私たち原子力資料情報室は、日本のプルトニウム利用計画に反対し、六ヶ所再処理工場計画の放棄を強く求める。
 核兵器の材料として開発されたプルトニウムの商業利用は、1960~70年代に各国で盛んに計画された。日本政府、電気事業連合会も、資源小国である日本は将来のエネルギーをプルトニウムに依存するべきとの方針を掲げ、英仏への委託再処理、東海工場での再処理を推進し、高速増殖炉を開発してきた。しかし原子力先進国のほとんどの先例は、その技術的、経済的困難性から高速炉開発の放棄、再処理計画の断念に至っている。これらの困難性から、日本も逃れることはできない。日本のプルトニウム利用計画は後退し続け、実態を失っている。
 1994年の「原子力利用長期計画」、2005年の「原子力政策大綱」でも、膨大な余剰プルトニウムの存在を無視できず、プルトニウム利用の柱は緊急避難としてのプルサーマル(軽水炉でのMOX燃焼)となっている。しかしこのプルトニウム需要計画の実行は、技術的、経済的、社会的にも困難が多く停滞する可能性が高い。まして六ヶ所再処理工場の稼働を計画通り強引に進めようとすれば、この矛盾はさらに広がり破綻することは明白である。
 プルトニウム計画が挫折すると大量のプルトニウムの在庫が残る。それは未来の世代に放射能汚染と核兵器の脅威をもたらし続ける。プルトニウム利用計画に官民の膨大な費用を投入することは、再生可能エネルギーの振興のような有効なエネルギー政策の実行を阻害し、将来の日本のエネルギー政策に大きな空白を生じさせるだろう。プルトニウム利用は、エネルギー問題や環境問題をより困難にする。
 六ヶ所再処理工場計画の推進による大量の余剰プルトニウムが、将来の日本の核武装につながる可能性も否定することはできない。たとえ日本が核武装しなくても、日本のプルトニウム計画は、他の国々を刺激しプルトニウム保有計画を推進させ、世界の不安定化を促進する効果をもつであろう。日本は世界平和のためにも再処理を放棄するべきである。
 六ヶ所再処理工場を稼働させ、毎年約8トンものプルトニウムを生産し、日本はプルトニウム利用をエネルギー政策の柱として突き進んでいこうとしている。この日本の政策が、将来の世界にどれほどの影響を与えるのか、計り知れない深刻な問題となることを私たちは憂慮している。国際社会の中でいま日本に求められているのは、再処理を放棄することである。

■下記に六ヶ所再処理工場のプルトニウム(MOX)粉末缶と貯蔵容器の概要を示す。
(六ヶ所再処理工場設置許可申請書、再処理施設に関する設計及び工事の方法の認可申請書から)

【粉末缶】
プルトニウム(MOX)は、アルミニウム製の高さ40センチ、外径約19センチの粉末缶に充填される。容器の内部には冷却のためにフィンが付いている。設計容量は12kg・(U+Pu)で、最大容量は貯蔵ホールの臨界安全のために13.3kg・(U+Pu)以下とされている。粉末缶個数は1720個。

【貯蔵容器】
プルトニウム(MOX)貯蔵容器は、ステンレス製の高さ約140センチ、外径約20センチの容器で、1基に粉末缶を3個積みあげて収納する。個数は490個。

【プルトニウム(MOX)貯蔵設備】
事業許可申請書によると最大貯蔵能力は60トン・(U+Pu)とされているので、粉末缶、貯蔵容器とも今後追加されると考えられる。

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