東京電力,原発などのデータ改ざん追加報告提出

東京電力,原発などのデータ改ざん追加報告提出

東京電力は,1月31日までに発覚した原子力発電所などのデータ改ざんに関して,それぞれの事件ごとに,以下の内容の追加報告を3月1日に経済産業省の原子力安全・保安院に提出した.

●詳細な事実関係の調査
●原因の究明及び再発防止対策
●2002年の総点検において確認できなかった原因の究明(原子力)

原発に関してあらたに発覚したのは,福島第二1号炉(1985年11月)と柏崎刈羽1号炉(1992年2月)での原子炉緊急停止事故を隠ぺいした問題や,柏崎刈羽7号炉での蒸気タービンの性能検査(2001年3月)のデータ改ざんなど6件ある.

今回提出された報告書のうち「原子力発電設備における法定検査以外のデータ改ざんの調査結果」によると,たとえば,柏崎刈羽1号炉の自動停止事故ついては,おおよそつぎのように説明されている.

柏崎刈羽1号炉で,1992年2月28日に定期検査に向けての停止作業中に,タービンバイパス弁が急に全開状態になったため,原子炉水位が上昇し,「原子炉水位高」レベルになったため給水ポンプが自動停止した.このため今度は原子炉水位が低下し,「原子炉水位低(L3)」の警報レベルに達したため原子炉が緊急に停止した.その後の調査で,タービンを制御する電気制御油圧装置が故障していたことがわかった.

この記述から,この事故はひとつ間違えば大きな事故につながる重大な事故であったことがうかがえる.「国,自治体等への報告した場合の対応の煩雑さを回避するため」ですまされるどころではない,安全上重大な内容を含んでいる.

原子炉の水位の大きな変動にともなって,原子炉出力や原子炉圧力なども大きくゆれ動いていただろうとも推測される.また,同じ年の9月29日に起きた福島第一2号炉の緊急炉心冷却装置作動事故につながる事故であり,今年2月11日に起きた出力変動をともなう福島第一4号炉の原子炉水位異常事故とよく似ており,その後の事故をまねくことになったと言えるかもしれない.

東京電力は原発を運転する資格があるのか.東京電力はすべての原発を停止すべきであり,保安院は東京電力が原発を運転することを認めるべきではない.

■関連リンク

東京電力
「検査データの改ざんに係る追加の報告徴収についての報告」の提出について(3月1日)
www.tepco.co.jp/cc/press/07030102-j.html

新潟日報
反原発地元3団体が声明発表(柏崎刈羽)
www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=231229

新潟日報
東京電力が県庁に謝罪報告
www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=231216

福島民友
原子炉緊急停止を隠ぺい/福島第二・1号機
www.minyu-net.com/news/news/0301/news2.html

毎日新聞
<原発隠ぺい>福島、新潟の地元では怒りの声
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070301-00000049-mai-soci

毎日新聞
<原発隠ぺい>データ改ざん新たに6件 東電、保安院に報告
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070301-00000047-mai-soci

毎日新聞
<原発隠ぺい>保安院に報告書 東電幹部が謝罪
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070301-00000052-mai-soci

朝日新聞
「報告すると面倒」 東電、原発緊急停止もみ消し
www.asahi.com/national/update/0301/TKY200703010443.html

新潟県知事(新潟県原子力安全対策課)
東京電力の原子炉緊急停止隠蔽に対する知事コメント(平成19年2月28日)(pdfファイル)
www.pref.niigata.jp/seikatsukankyo/genshiryoku/atom/niigata/request-proposal/20070228-comment.pdf