原子力の安全・保安とはカンケイナイ?―4・13「原子力安全・保安院」ヒヤリング―

原子力の安全・保安とはカンケイナイ-?
―4・13「原子力安全・保安院」ヒヤリング―

山口幸夫

 【志賀1号機の臨界事故と隠ぺい、福島第一3号機の臨界事故、制御棒脱落、保安院の責任問題】の4点を原子力安全・保安院長へ質問書をだしていた福島瑞穂さん、近藤正道 さんの両参議院議員が4月13日、参議院議員会館で、各地から参加した市民たちと一緒に、原子力安全・保安院にヒヤリングをおこないました。

 原子力安全・保安院から答弁に出てきたのは総勢6名。原子力発電検査課の高橋正和氏が主に答える人。ほかに、安全審査課・成田氏と野中氏、防災課・武藤氏、発電課・古作氏、電力安全課・村上氏の5氏が定刻にずらっと前にならびます。

 冒頭、福島議員が「保安院がチェックできない仕組みになっているんじゃありませんか!北電だけでやっている。これって、完全犯罪と言うべきです。BWRでは制御棒が落ちやすいという指摘が前からありました。そのとおりのことが起こったんです。もし、制御棒脱落、臨界事故が、起きたそのとき明らかにされていれば、六ヶ所も志賀2号機も無かったかも知れないんですよ!」とあいさつ。じつに歯切れがいい。

 ヒヤリングは近藤議員が司会して進めました。近藤さんは福島さんと一緒に、志賀1号機の不正が発覚するや、さっそく現地へかけつけて調査したのですから、保安院の6人よりずっとリアルです。答弁の高橋氏が言い逃れようとするところを、そうはさせじと、つっこみます。志賀1号機について、

近藤さん「ほんとにこれで(志賀1号機の隠ぺい、改ざん、捏造、偽装は)全部、出たんですか?」

高橋氏「国としては、さらに追加報告は求めていません。ですから、もう無いとは言いきれません。出てくる可能性はあります。」

近藤さん「もっと詳細な引き継ぎ日誌があるんじゃないですか?」
  
保安規定第14条:当直長は、その業務を次の当直長に引き継ぐ場合は、所定の鍵、運転日誌および引継日誌を確実に引き渡すとともに、運転状況を的確に申し送る。

    「今回、これが全く守られていない!」

高橋氏「ハイ。適切ではなかったとは思いますが、保安規定違反かどうかは、まだ結論が出ていません。」

(日誌には原子炉停止とだけあって、他には何も書かれていないのです。)

近藤「志賀の副所長は、起こったことを適切に書くべきだった、と言うておったよ。後でいいから、ちゃんと調べ直して、報告してよ。」

高橋「ハイ。」

 3月29日の全国紙に経済産業大臣 甘利明の名で出た広告を見て、目をむいたひとが多いんじゃありませんか。いわく、「世界で一番安全安心な原子力立国を目指します。」なぜ今改ざんがあきらかになるのか? それは私が「事実を隠さず出すように」と指示したからです、だって。

 この指示は、口頭で原子力安全・保安院長へ伝えられたもののようです。「今回、あらいざらい出せ、とされたのは法律に基づいた報告徴収ではなかった」と高橋氏は言いました。ついで、志賀1号機で3月15日に隠ぺい、改ざんが出てきたので、東電でもそういうことがないのか、と調べたのです」と発言しました。
 さあ、これはするどく追及されました。関西から参加したSさん、「ウソでしょう! 3月19日に内部告発があったからじゃないですか!」
 その場には、その内部告発文書のコピーが皆へ配られていました。高橋氏、誤魔化そうにも、できません。ウーム、という表情で、高橋「内部告発との関連を承知しておりません。さっきの発言はおわびして、撤回します」だと。
 近藤「経過を調べて、後で報告してください」

 ここで、参加者の柏崎のTさん、福島のIさん、浜岡のAさん、石川のNさん、女川のKさんたちから次々に質問と批判の矢が放たれました。
●この4月4日、柏崎刈羽5号機で火災が発生したのに、消防署に通知されたのは、3時間もたってからだった。あわよくば隠そうとしていたんじゃないのか。
●福島で去年7月、トリチウムの放出があったのに、1週間も隠していたぞ。5つの壁があるから放射能は環境に出ないと言ってたのは、一体なんなんだ。
●浜岡で、建設時にコンクリートで不正があったのは周知のことだ。そんな話は今回、まったく出てこない。まだ隠しごとがあるんだ。今の安全に係わることでしょうに。
●電力だけじゃなく、保安院の隠ぺい体質もあることがよく判った。志賀2、浜岡5号機のタ-ビンについて、わたしは保安院に質問した。「誰が、どのような検討をしたのか」と。でも、教えてくれなかった。保安院のスノウチという人物だが、「専門家とのメモは、たまってしまうんで、すてちゃった」と言うしまつだ。なんていう隠ぺい体質なんですか。保安院の隠ぺい体質を変えないかぎり、原発全部止めるしかないでしょ!保安院は、資料を全部出して、我々の前で議論してくれ。今、そういう場がまったく無いんだ。

 保安院の高橋氏ら、答えるすべ、全くナシでした。

 福島第一3号機のケースは高橋氏が言うに、「臨界は起こった。しかし、われわれは臨界事故とはみなしていません」。Iさん、「7時間半もつづいていたんですよ!」。残念ながら、ここで、時間切れ。6人はさっと身をひるがえすや、足早に会議室から出て行ってしまいました。なあぁーんと。

 その後、同じ場所で1時間半あまり院内集会が開かれました。40人ほどです。テーマは「脱落した安全-BWRは欠陥原子炉-、原子力安全・保安院の欠陥規制体制を問う」というもので、原子力資料情報室と平和フォーラムの主催です。

 多くの人たちが今日の安全・保安院の対応をきびしく、きびしく批判しました。詳細は別にゆずります。まだまだ、いっぱい隠されていることがある。事故を事故と言わず、情報を出さず、国-電力-メーカーが一体となって癒着構造が出来ていることがよ~く分かったぞ、という意見が相次いだことを記して、4・13を終わります。