特定放射性廃棄物小委員会奮闘記⑪ 先行き不安な佐賀県玄海町の対話を行う場
第6回特定放射性廃棄物小委員会が4月25日に開催された。昨年8月以来、8カ月ぶりの開催となる。議題はいくつかあったが、紙幅の関係上、佐賀県玄海町の「対話を行う場」について取り上げたい。
文献調査が進行中の佐賀県玄海町では、地層処分に関して住民参加で意見交換を行う目的で「対話を行う場」が、今年4月17日に初めて開催された。有志の玄海町民4名から構成される実行委員会が運営を司り、事業者の原子力発電環境整備機構(NUMO)が事務的な補助を行う。NUMOの説明によると、実行委員会に運営を任せ、NUMOは事務局のみなので、運営の中立性は担保されるとのことだった。
これに疑問を感じた筆者は、文献調査の賛否に関する実行委員会メンバーの意見のバランスをチェックしたのか尋ねた。NUMOは、玄海町の役場から紹介を受けたと述べ、町から推薦を受ける前に対話を行う場の趣旨や中立性が大事だということを説明したので、賛否のバランスについては特に確認していないとのことだった。
続いて筆者は、事業者のNUMOが情報提供や外部有識者の紹介を行うのであれば、第三者諮問機関を設置し、運営状況をチェックし、助言も得られる仕組みにすべきと提案した。NUMOは、運営については走り始めたばかりであり、変えるべきところは変えていきたいというあいまいな答弁に終始した。
対話を行う場は、今後数カ月に1回開催されるという。このままではバランスのとれた情報が提供され、運営の中立性が確保されるのか、非常に心もとない。引き続き監視と改善の提案をしていきたい。
(高野 聡)