2025年6月25日付け東洋経済オンライン掲載の朝日新聞社角田社長インタビュー記事に関する公開質問状
2025年7月9日
株式会社朝日新聞社 代表取締役社長 CEO
角田 克 様
原子力市民委員会
NPO法人原子力資料情報室
2025年6月25日付け東洋経済オンライン掲載のインタビュー記事に関する公開質問状
盛夏の候、ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、去る6月25日、東洋経済オンラインに掲載されました、「『強い主張を繰り返すメディアは親しまれない』『ネット出現時の失敗を繰り返していいのか』…朝日新聞社長が語った“反省”とAI 時代の生き残り方」という角田様へのインタビュー記事に関して、私たちは朝日新聞社の報道姿勢およびガバナンス体制について強い疑念を持ちました。そこで、以下の質問について、本書面到達後、2週間以内に、末尾記載の事務局宛まで、書面またはEメールでご回答頂きたく、お願い申し上げます。
なお、当該質問と御社の回答は、一般に公開させて頂きますので、ご了解下さい。
記
- インタビューで角田様は、「原発1つにしても、『脱原発』と言う人もいれば、『原発を動かすしかない』と言う人もいる。今の皆さんは、それぞれの意見を同じように知りたいと思っている。だって、AIやデータセンターは原発がないと動かせないようなことも、みんなわかっている。だから『原発が絶対必要だ』という意見も、朝日新聞の社説とは(考えが)違うから載せない、載せる回数が少ない、とするのは違う。ほかの意見は違う、認めない、といったメディアであってはいけない。」と発言されています。
- 角田様の「AIやデータセンターは原発がないと動かせないようなことも、みんなわかっている」という御発言は、今後AIやデータセンターが増えていく日本において、角田様自身が「原発が絶対必要だ」と認識されているゆえのものと理解できます。このような角田様の御認識は、御社の福島第一原発事故以降からこれまでの社論である「脱原発」と明確に異なっていると思われますが、そのような理解で正しいでしょうか?
- 「AIやデータセンターは原発がないと動かせないようなことも、みんなわかっている」という角田様のご発言が、御社が大事にする「ファクト」に基づくものかどうか関心があります。つきましては、1)「原発がないと動かせない」というエビデンス、2)「みんなわかっている」というエビデンス、の二つを具体的にお示しください。
- 御社は2014年12月26日、「第三者委員会の報告書に対する朝日新聞社の見解と取り組み」において、「経営陣は編集の独立をいっそう尊重し、原則として記事や論説の内容に介入することはしません。」「経営に重大な影響を及ぼす事態であると判断して関与する場合には、関与の責任が明確になるよう、ルールをつくります。」と表明されました。
- 経営陣トップであるCEO自ら「原発が絶対必要だ」と表明されることは、記事や論説の内容に介入しているように見えます。それとも、原発問題は経営に重大な影響を及ぼす事態であると判断されたのでしょうか?経営陣トップであるCEOが「原発が絶対必要だ」と述べるような環境において、御社記者が萎縮や忖度なしに自由に原発について記事を書くことが可能だとお考えでしょうか?
- 角田様はインタビューで「朝日新聞の記事は記者の取材の中に主張が入り込むような形で、これまでいくつか失敗してきたというのが私の認識」、「強い主張を繰り返していくと、次世代の人たちに親しまれるメディアにはなれない」、「私どもは私どもの取材結果を世の中に中立、中庸で出す。それに対し、社説も含めて『朝日新聞社はこう考える』ということは明確に出す。そして、『私どものほかにこういう考えもある』『あなたは自分の生活や学びの中で、どの主張を選びますか?』という姿勢を心がけないといけない」と発言されています。これは前記の2014年の表明にある経営陣は「記事や論説の内容に介入することはしません」という発言と矛盾しているように見えますが、角田様は経営と編集の分離をどのようにお考えでしょうか? また、十分なファクトチェックなしに両論併記することで間違った情報を発信してしまうリスクはどのようにお考えでしょうか?
- 本件に関して、可能であれば角田様と直接的に意見交換する場を持つことができればと考えます。いかがでしょうか?
以上
朝日新聞社広報部回答
2025年7月22日
東洋経済オンライン編集部御中
原子力市民委員会
NPO法人原子力資料情報室
2025年6月25日付け東洋経済オンライン掲載のインタビュー記事に関する公開質問状
盛夏の候、ご清栄のこととお慶び申し上げます。
去る6月25日、東洋経済オンラインに掲載されました、「『強い主張を繰り返すメディアは親しまれない』『ネット出現時の失敗を繰り返していいのか』…朝日新聞社長が語った“反省”とAI 時代の生き残り方」という株式会社朝日新聞社の角田克社長へのインタビュー記事に関して、私たちは朝日新聞社に公開質問状を発出し、7月15日に回答を得ました(別添参照)。
朝日新聞社からご回答いただいた際に、朝日新聞社からは、東洋経済オンライン編集部に対して当該箇所の修正を申し入れている、自分たちでも社長インタビューをすべて文字起こししたところ、角田社長はAIやデータセンターは原発がないと動かせないと言っている人もいる、という趣旨で発言している、また記事を修正するかしないかの判断は東洋経済オンライン編集部が行われる、との説明がありました。
そこで、以下の質問について、本書面到達後、2週間以内に、末尾記載の事務局宛まで、書面またはEメールでご回答頂きたく、お願い申し上げます。
なお、当該質問と御社の回答は、一般に公開させて頂きますので、ご了解下さい。
記
- 当該記事によれば、角田氏は、「原発1つにしても、『脱原発』と言う人もいれば、『原発を動かすしかない』と言う人もいる。今の皆さんは、それぞれの意見を同じように知りたいと思っている。だって、AIやデータセンターは原発がないと動かせないようなことも、みんなわかっている。だから『原発が絶対必要だ』という意見も、朝日新聞の社説とは(考えが)違うから載せない、載せる回数が少ない、とするのは違う。ほかの意見は違う、認めない、といったメディアであってはいけない。」と発言されています。当該箇所について、朝日新聞社から修正要望が来ているでしょうか?
- 朝日新聞社から修正依頼が来ている場合、それはいつのことでしょうか?
- 朝日新聞社からの修正依頼が来ている場合、それに応じる予定はおありでしょうか? 応じる予定がない場合、それはなぜでしょうか?
- 公開質問状への朝日新聞社の回答と説明をお読みになって、掲載した媒体としてどうお感じになられたでしょうか。印象で結構なのでお答えください
以上


原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。