中国電力の上関原子力発電所計画に関する要望書

原子力資料情報室は本日、中国電力東京支社に下記の要請書を提出しました。

中国電力株式会社
取締役社長 山下 隆 殿

2011年2月21日

認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室
〒162-0065
東京都新宿区住吉町8-5 曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801

要 請 書

 中国電力の上関原子力発電所計画は、予定地田ノ浦の対岸祝島の住民を初めとして、地元住民の十分な理解を得ているものではありません。特に祝島島民の意志を踏みにじるように着工された2009年の9月の海域の埋め立て工事以来、貴社の地元住民への対応は、「発電所計画への理解を得る」ために行われているものとは、到底言えないものです。発電所予定地の真向かいに約4キロに位置する祝島島民は、原子力発電所建設によって、生活の糧である漁業の継続に大きな不安を抱え、計画公表以来一貫して反対の意思表示をしています。しかし中国電力は島民との対話を避けてきたばかりか、埋め立て工事に抗議する住民を司法に訴え、島民の生活や営みを冒涜すうような人権を軽視した発言を繰り返しています。

 また発電所建設予定地の田ノ浦は、スナメリ、カンムリウミスズメ、ナメクジウオ、スギモクなどの希少生物が数多く生息する貴重な海であり、日本のガラパゴスとも呼ばれる豊かな自然の残る海域です。田ノ浦の埋め立て工事や上関原子力発電所の建設・運転に伴う環境破壊によって、これら希少生物への悪影響は計り知れません。まして電力需要の伸びが停滞する現状では、自然豊かな瀬戸内海の環境を破壊し、住民から安心した暮らしを奪う上関原子力発電所を建設する必要性は全くありません。

 以上の点に鑑み、私たち原子力資料情報室は、中国電力に対し下記の要請を行います。


1.住民の合意が得られるまで、埋め立て工事を中止し、原状回復措置を講ずること。
2.予定地周辺の稀少生物の詳細な生息状況の調査を実施し、環境影響評価をやり直すこと。

以上