【原子力資料情報室声明】東日本大震災・福島原発過酷事故から15年

東日本大震災・福島原発過酷事故から15年

2026年3月11日

NPO法人原子力資料情報室

                           

1960年代末、地球科学の分野でプレート・テクトニクス論が広く受け入れられるようになった。一方で、まったくそれと関係ないかのごとく、日本列島上の原子力発電所は急速に増え続け始めた。

4枚のプレートがひしめきあう変動帯に位置する日本列島は、地震、地殻変動、津波、火山噴火など、日常的に災害対策を迫られる列島であり、欧米とは全く異なる自然条件下にあるにもかかわらず、原発は増え続けた。

世界の人口は指数関数的に増加しているが、高速増殖炉と核融合炉が実現すると、もはやエネルギーの心配はなくなる、と原子力推進の科学者たちが説いた。いわば、国をあげて、原子力に夢を託したのであった。

しかし、その夢を根底から打ち砕く事故が起きた。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(M9.0)で発生した東京電力福島第一原発の過酷事故だ。15年後の今日でも「原子力緊急事態宣言」下にあるほどの惨状がもたらされた。3基の原子炉が炉心溶融したが、水素爆発にいたるプロセスの進展状況は、未だ解明の途上にある。現場の放射線レベルが高く、調査が進まないのも理由の一つだ。しかし、国と東京電力は「廃炉措置」を2051年までにというロードマップを提示し続けている。大気を、大地を、海洋を、放射性物質で汚染し続けながら。

『国会事故調 調査報告書』(2012年)はこの事故が「人災」であることは明らかだ、とした。その根本的な原因は「日本が高度経済成長を遂げたころまで遡る。政界、官界、財界が一体となり、国策として共通の目標に向かって進む中、複雑に絡まった『規制の虜』が生まれた」。その結果は、「官と財の際立った組織構造を当然と考える日本人の思い込み」につながり、「前例を踏襲すること、組織の利益を守ることは、重要な使命となった。この使命は、国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向を知りながらも、それに目を向けず安全対策は先送りされた」と説いた。

政府の「原発回帰」政策の決定過程をみていると、『規制の虜』が生き続けていると思い当たる。あいも変わらず、規制される側が規制する側を虜にしている状況である。

歴代の原子力規制委員長は「規制委は安全を保証する機関ではない」と言明しているのに、政府は「原子力規制委員会によって安全性が確認された原子炉の再稼働加速に向けて官民挙げて取り組む」と言うのである。

特定重大事故等対処施設(特重施設)は5年間の猶予措置があったにもかかわらず、それを守れない業者が相次いだので見直すことを、先ごろ、原子力規制委員会は決めた。

中部電力浜岡原発で基準地震動の捏造が発覚した。公益通報による。この捏造を規制委員会は見抜けなかった。否、見抜く力量がなかった。

この国には原子力を規制できる機関が存在しない現状である。であるならば、民事利用とはいえ、核エネルギーとは手を切るべきではないか。幾世代にもわたって犠牲を強いるシステムを存続させることは根本的な誤りである。

持続可能な社会を実現したいのであれば、政・官・財・学が犯した過ちを正し、再生可能エネルギーで社会を運営するほかに方法はないではないか。

(以上)

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