六ヶ所ガラス固化体崩壊熱問題に関する日本原燃と青森県知事への要請書
日本原燃株式会社
社長 兒島伊佐美 殿
要請書
2005年2月10日
原子力資料情報室
日本原燃が六ケ所村で運転する高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター「B棟」、再処理工場「ガラス固化建屋」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋東棟」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟」について、1月14日原子力安全・保安院から崩壊熱の除去解析の再評価を行い、結果を報告するべく指示が出されました。
原子力安全委員会・原子力安全・保安院のこれら施設に対する許可処分、さらに現行設工認の計算値ではガラス固化体の中心温度は410?430℃、貯蔵部天井コンクリートの温度は65℃以下とされていたにもかかわらず、日本原燃が1月28日に公表した『再評価結果報告書』(以下『報告書』)では、「B棟」では500℃・91℃、ガラス固化建屋では463℃・77℃、「東棟」では519℃・101℃、「西棟」では624℃・136℃という、固化体の安全性に重大な問題を生じさせる解析値が出ています。
このような重大な安全性の問題に加えて、私たち原子力資料情報室がこの問題に関する調査をおこなったところ、新たな重大な事実が明らかになりました。
問題は、昨年(2004年)10月29日に日本原燃が原子力安全・保安院に高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター「B棟」の設工認申請を行い、11月16日保安院が原子力安全基盤機構にクロスチェックを依頼、12月17日に原子力安全基盤機構から保安院に対して、「日本原燃の解析結果に大きな疑念」が生じたことに発しています。そして保安院は、再処理工場のウラン試験開始翌日の12月22日、日本原燃に対してこの問題に関する「照会」を行い、24日日本原燃は問題の4つの建屋で「冷却空気入口・出口形状の圧力損失の再確認」の作業を実施し、その結果を保安院に報告しています。また日本原燃は同時に『報告書』に記載されている約8900件の計算式、延べ約820件の解析コードについての確認作業に着手しています。つまり、この「崩壊熱除去解析」については、すでに昨年12月中旬から原子力安全・保安院と日本原燃の間で、問題の確認、対応のための作業等が開始されていたのです。
ウラン試験開始前から、「解析結果の問題」を認識していたにもかかわらず日本原燃にいち早い安全確認を指示しなかった原子力安全・保安院の怠慢な対応、また、保安院の「照会」後、確認作業に着手していたにもかかわらず、その事実を全く公表しないままウラン試験を継続していた日本原燃の密室性は、青森県民を愚ろうする態度そのものです。日本原燃は、「指示」を受けてはじめて1月15?16日に確認作業を行ったことになっています。しかしこれは形だけの「確認」行為によって県民の目をごまかそうとしたものであり、原子力安全・保安院や日本原燃は、「青森県民の安全確保」をないがしろにする「安全を確保しない役所」であり、「危険産業」であることの証左です。
原子力安全・保安院と日本原燃のこのような「危険な談合」体質を払拭しないかぎり、核燃サイクル事業に対する県民・国民の理解は得られません。高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター「B棟」、再処理工場「ガラス固化建屋」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋東棟」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟」の熱解析問題について、昨年12月中からの原子力安全・保安院と日本原燃の協議の経過のすべてを国民の前に明らかにすることを求めます。また私たち原子力資料情報室は、虚偽の報告によるウラン試験の継続に強く抗議し、六ヶ所再処理工場の「ウラン試験の中止」を要請します。
以上
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青森県知事
三村申吾殿
要請書
2005年2月10日
原子力資料情報室
日本原燃が六ケ所村で運転する高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター「B棟」、再処理工場「ガラス固化建屋」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋東棟」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟」について、1月14日原子力安全・保安院から崩壊熱の除去解析の再評価を行い、結果を報告するべく指示が出されました。
原子力安全委員会・原子力安全・保安院のこれら施設に対する許可処分、さらに現行設工認の計算値ではガラス固化体の中心温度は410?430℃、貯蔵部天井コンクリートの温度は65℃以下とされていたにもかかわらず、日本原燃が1月28日に公表した『再評価結果報告書』(以下『報告書』)では、「B棟」では500℃・91℃、ガラス固化建屋では463℃・77℃、「東棟」では519℃・101℃、「西棟」では624℃・136℃という、固化体の安全性に重大な問題を生じさせる解析値が出ており、日本原燃は、これら施設の設計変更を示唆しております。(500℃超の問題は別紙をご参照ください。)
この問題については、貴職に対しても1月14日、原子力安全・保安院、日本原燃から報告があったことが報道されました。しかし、私たち原子力資料情報室がこの問題に関する調査をおこなったところ、新たな重大な事実が明らかになりました。
問題は、昨年(2004年)10月29日に日本原燃が原子力安全・保安院に高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター「B棟」の設工認申請を行い、11月16日保安院が原子力安全基盤機構にクロスチェックを依頼、12月17日に原子力安全基盤機構から保安院に対して、「日本原燃の解析結果に大きな疑念」が生じたことに発しています。そして保安院は、再処理工場のウラン試験開始翌日の12月22日、日本原燃に対してこの問題に関する「照会」を行い、24日日本原燃は問題の4つの建屋で「冷却空気入口・出口形状の圧力損失の再確認」の作業を実施し、その結果を保安院に報告しています。また日本原燃は同時に『報告書』に記載されている8900件の計算式、延べ820件の解析コードについての確認作業に着手しています。つまり、この「崩壊熱除去解析」については、すでに昨年12月中旬から原子力安全・保安院と日本原燃の間で、問題の確認、対応のための作業等が開始されていたのです。
ウラン試験開始前から、「解析結果の問題」を認識していたにもかかわらず日本原燃にいち早い安全確認を指示しなかった原子力安全・保安院の怠慢な対応、また、保安院の「照会」後、確認作業に着手していたにもかかわらず、その事実を全く公表しないままウラン試験を継続していた日本原燃の密室性は、貴職をはじめとする青森県民を愚ろうする態度そのものです。日本原燃は、「指示」を受けてはじめて1月15?16日に確認作業を行ったことになっています。しかしこれは形だけの「確認」行為によって県民の目をごまかそうとしたものであり、原子力安全・保安院や日本原燃が、貴職の求める「県民の安全確保」とは全く相いれない「安全を確保しない役所」であり、「危険産業」であることの証左です。
私たち原子力資料情報室は、貴職が真剣に「県民の安全」を確保するために、このような国や日本原燃の欺瞞的行為に惑わされることなく、虚偽の報告によるウラン試験の継続容認を撤回し、毅然と六ヶ所再処理工場の「ウラン試験の中止」を求めることを要請いたします。また、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター「B棟」、再処理工場「ガラス固化建屋」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋東棟」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟」の熱解析問題を青森県自ら詳細に検討し、国と日本原燃の「危険な談合」体質を払拭しないかぎり、核燃サイクル事業に対する県民の理解は得られません。この問題の事実経過の解明を行い、その結果を県民の前に明らかにすることを求めます。
以上