東京電力が衆院特別委員会に提出した「切り貼り」と「黒塗り」の「事故時運転操作手順書」等について
東京電力は、事故原因究明のためにすべての資料を公開すべきだ
― 東京電力が衆院特別委員会に提出した「切り貼り」と「黒塗り」の「事故時運転操作手順書」等について ―
衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)は9月7日、東京電力福島第1原発1号機の「事故時運転操作手順書」等を記者会見し公開した(下記アドレスでからダウンロードできます)。これは同特別委員会が8月26日、経済産業省を通じて東京電力に提出を求めたものだ。公開された「事故時運転操作手順書」なるものは、原子炉スクラム時の主蒸気隔離弁閉止後の非常用復水器とサプレションプール冷却モードの部分だけを切り貼りしたA4の1ページ、さらにほとんど全部をマスキング(黒塗り)した12ページ分である。
これらの書類には、以下の注意書き添えられている。
「本ドキュメントには、東京電力株式会社またはその他の企業の秘密情報(未特許出願発明、ノウハウ等)が含まれている可能性があります。当社の許可なく本ドキュメントの複製物を作成すること、ならびに本ドキュメントの内容を第三者に開示、公開する行為を禁止します。東京電力株式会社 原子力運営管理部」
提出された資料から読み取れる情報はほとんどなく、東京電力は公開出来ない理由を「公開」したのである。
同委員会は、別に「シビアアクシデント(過酷事故)発生時の手順書」についても提出を求めているが、東京電力は「安全確保」、「企業秘密」、「核物質防護上の問題」等を理由に、公開そのものを拒んでいる。同委員会は9日までに開示するよう再度要求している。同委員会は、9月6日の資料請求に対する東京電力の回答も同時に公開した。
このような資料の提出は、「公開」の名に値する物ではない。福島第一原発の冷却材喪失事故の原因究明は、多角的な調査・研究によって検証する必要がある。原因究明のための大きな障壁は、このような東京電力の秘密主義にあると言わざるをえない。
■「1号機」事故時運転操作手順書(2010年1月16日)(102)
cnic.jp/files/20100106tepco_102.pdf
■「福島第一原子力発電所の事故原因の検証に必要な資料の提出について(平成23年9月6日付)」に対する回答について
cnic.jp/files/20110906tepco.pdf
■衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会の資料提出要求について(原子力安全・保安院)
*東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故時運転操作手順書の提出について(要請)(2011/8/30公表)
www.meti.go.jp/press/2011/08/20110830009/20110830009.html
*東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故原因の検証に必要な資料の提出について(要請)(2011/9/7公表)
www.meti.go.jp/press/2011/09/20110907005/20110907005.html
■関連報道
*毎日新聞(2011/9/8 )
mainichi.jp/select/today/news/20110908k0000m040109000c.html
*共同通信(2011/9/8 )
www.47news.jp/CN/201109/CN2011090701001015.html