「武力攻撃原子力災害」についての公開質問状

「武力攻撃原子力災害」についての公開質問状

原子力安全委員会 委員長 松浦洋次郎殿

2005年6月17日
原子力資料情報室
共同代表 西尾漠、伴英幸、山口幸夫
原水爆禁止日本国民会議
議長 岩松繁俊

政府は6月14日、国民保護法に基づく実動訓練を11月に福井県で実施する旨発表しました。関西電力美浜原子力発電所において「武力攻撃に伴って放射性物質又は放射線が原子力施設外へ放出されることにより、人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがあると認めるとき」の対応を訓練するものです。

このことは、原子力発電所あるいは再処理や使用済燃料貯蔵等の原子力施設に対する武力攻撃が、他の施設に対する攻撃と違って「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染されたもの又は原子炉に係る武力攻撃災害」を発生させ得ることを示しています。また、それ故に国民保護法は、武力攻撃災害の「発生又はその拡大を防止する」ため、原子炉等規制法にある「危険時の措置」の適用を定めています。

そうであるならば「核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物又は原子炉による災害の防止上支障がないものであること」を求めた原子炉設置許可や再処理事業指定などの際の安全審査にあっても、武力攻撃に伴う原子力災害の防止上支障のないものであることの審査が必要だと考えられます。

そこで以下の点につき質問し、早急な回答(文書)をお願い致します。

一、安全審査において、武力攻撃災害の審査は行われているのか。

二、行われているとすれば、どのように行われているのか。

三、行われていないとすれば、なぜ行われていないのか。また、行わなくてよいのか。

四、国民保護法において「原子力安全委員会は、武力攻撃原子力災害等に係る技術的助言をするという役割が定められました」と『原子力安全白書』に記されているが、具体的にどのような技術的助言を行うのか。