原子力長計策定会議意見書(第29回)

原子力長計策定会議意見書(第29回)
2005年6月30日
原子力資料情報室 伴英幸

意見募集に寄せられた意見の反映のさせ方についての提案・要望

1. 意見募集方法を改善するべきという意見が寄せられていました。その中で「原子力関連施設立地点では意見募集原案が手軽に閲覧・入手できるような配慮」に触れられていますが、策定会議関連の資料の配布状況を教えてください。インターネット以外では入手が困難だとすれば、募集期間も含めて改善するべきだと考えます。
 また、今回の意見募集に関する原子力委員会のホームページへのアクセス数を教えてください。
2. 事務局が「意見を採用し長期計画案に新たに加えた」ものについて、当該意見と計画案への反映箇所を示して下さい。
3. 地震に関する意見が、さまざまな形で数多く出されています。それらを抽出・整理して資料としていただき、長期計画にどう反映できるかの議論をするのがよいと思います。
4. 現行長期計画ないし過去の長期計画の評価を求める意見が複数ありました。現行長期計画との対比の上で今回の長期計画にどんな特色を盛り込むのかは議論する必要があると思います。新計画が何を目指すかをまず明らかに、との意見もありました。
5. 意見募集の仕方についての意見も多くありました。特に今回の意見公募が「『新計画の構成』に対する意見募集」というわかりにくいものであったことのせいもありますが、どうわかりにくかったかの反省も含めて、次のパブリック・コメントのあり方について意見交換をしておく必要がありそうです。別テーマの意見の中で公募について触れていたり、ということもありますので、抽出・整理していただけると有益だと思います。
6. 脱原発や原発の抑制を求める意見が多数あります。他方でいっそうの原発の拡大や高速増殖炉開発の促進などを求める意見もあります。そうした意見の幅があることを、何らかの形で反映させることを考えては如何でしょうか。
7. 原子炉等規制法に定められた平和利用の担保、経理的基礎などの審査が事実上行なわれていないとの指摘があります。これには原子力委員会として明確に答えるべきだと思います。木元委員、近藤委員長(当時は原子力委員会参与)も参加された青森市での原子力委員会と原子力資料情報室・原水爆禁止日本国民会議の公開討論でもこの問題が提起され、事務局の要望により2003年10月23日、原子力資料情報室では「『日本原燃(株)六ヶ所再処理・廃棄物事業所における再処理の事業指定について(答申)』(平成4年12月15日)の審議過程を説明する資料の公開」を原子力委員会に文書で申し入れています。未だに何らの対応もありません。
8. 原発に肯定的な意見、否定的な意見の別なく、もっときちんとした説明をとの意見があります。特に再処理、プルトニウム利用についてそうした声が多いことを踏まえ、そうした意見を出した人に長期計画案も読んでもらった上で「どういう点で説明不足と思うのか」を述べてもらい、議論をする場をつくったら如何でしょうか。
9. 地球温暖化防止に原発が有効であるとの記述に対し、さまざまな批判が寄せられています。「複数の情報源からの情報を」との意見もありますので、気候ネットワークや環境エネルギー政策研究所などの考えを聞いて議論する場を、ぜひ設けて下さい。
10. 「推進が基本」という原子力基本法の制約について、原子力委員会が主体的に議論せよという意見と、それができないなら立法府にゆだねよという意見とがありました。いずれにしてもその問題をどう考えるのかの議論を策定会議の場で行なうべきだと思います。