事故後10年・もんじゅの問題点

事故後10年・もんじゅの問題点

伴英幸(共同代表)

 

●改良工事でももんじゅの安全性は高まることはない

 もんじゅの欠点といえる炉心暴走の起こしやすさ、蒸気発生器での高温ラプチャの危険、配管類が地震に弱い構造であることなど、本来の欠点は改良工事によっても克服されていない。特に、高温ラプチャ問題ではカバーガス圧力計などの追加対策が計画されているが、十分とはいえず、これによって安全が十分に高まるとはいえない。また、従来指摘されていた活断層に加えて近くに想定外の活断層帯の存在が明らかになってきた。いま、もんじゅの耐震安全性が問い直されている。

●約12年間も運転しかったもんじゅを運転するのはきわめて危険

 10年止まり、改良工事が予定通りに進めば、運転再開は停止から12年後となる。この間にナトリウムの劣化、機器類の劣化、特に、2次系および3次系の配管類の劣化などが危惧される。問題は、これらすべてを調査・評価することができないことだ。定期検査でも原子炉や循環ポンプや蒸気発生器などは通常点検のみで十分には点検されてこなかった。また、改良工事による耐震性の低下もチェックされたとは言えず懸念される。

●もんじゅの改良工事、運転再開は予算の無駄遣い

 欧米各国が高速増殖炉開発をすでに止めている。このことは高速増殖炉の実用化が困難であり、他の方法が合理的であることを示している。つまり、開発の必要性はない。また、日本の評価で、プルトニウム倍増時間が最短で43年という計算結果を核燃料サイクル開発機構が公表している。これでは増殖に意味がないことを明らかにしている。経済性の点からも実用化はできないと言える。もんじゅに続く実証炉計画が宙に浮いているのもそのためだ。これでは、もんじゅを運転再開しても意味がない。
 再生可能エネルギーなど他のエネルギー源を追求した方がはるかに効果的で良い。