原子力防災の施行状況報告書案まとまる(『通信』より)

原子力防災の施行状況報告書案まとまる

 原子力災害対策特別措置法(原災法)が成立・施行されてから5年が経過したので、原子力安全・保安院は昨年から同法附則2条に基づく施行状況の検討を行なっていた。原災法はJCO臨界事故を契機として1999年12月に制定され、翌年6月に施行された。検討は昨年10月より開始されてこのほど報告書案がまとまり、2月13日から3月3日までパブリックコメントに付された。

 この5年の間に、オフサイトセンターの設置、原子力防災専門官の配置、災害対策マニュアルの策定、原子力防災課の設置など国における取り組み、地方公共団体にあっては、地域防災計画の策定が行なわれ、事業者にあっては原子力防災業務計画の策定や組織の設置、原子力防災管理者の選任などが行なわれた。また、オフサイトセンターが設置されて、防災訓練が実施されている。保安院では24時間体制で原子力防災に係る初期事象情報の収集などにあたっているという。

 報告書は未整備な点も指摘している。それは防災ネットの根幹に係る問題で、「全ての拠点が一つのネットワークで接続されていないため相互の情報共有を十分に図ることが困難である」、また、「通信回線容量に制約があるためテレビ会議映像の画像動作に遅れが生じている」といった点だ。

 具体的には保安院と災害対策本部のネットワークがつながっていない。さらに、それら地方自治体やオフサイトセンターをつなぐ回線が64?128kbpsしかない。縦割り行政の欠陥が露呈したともいえる。ネットワークの統合は2007年度に整備されるという。

『原子力資料情報室通信』381号短信
情報は執筆時点のものです

原子力資料情報室通信とNuke Info Tokyo 原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けしています。