高速増殖炉開発の官民役割分担をめぐり原子力部会で議論(『通信』より)
高速増殖炉開発の官民役割分担をめぐり原子力部会で議論
総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会では、原子力政策大綱を着実に実施していくとの構えで議論を重ねている。12月26日、2月3日の2回は高速増殖炉サイクルの実用化が議題で、12月の回には「ポストもんじゅ」なる言葉が登場してもんじゅに続く炉が議論され、2月の回はその炉の実現のための官民の役割分担がテーマだった。
政策大綱に言うように、高速増殖炉の実用化像とそこに至るまでの研究開発計画は2015年ごろに日本原子力研究開発機構が提示し、国としての検討を行なうことになっている。現行はもんじゅの次の炉の担い手はいない。部会に提案された考え方案によれば、軽水炉発電相当分のコストとリスクは民間事業者が負担することを原則とするというものだった。運営主体は経済性の見通しが現実的な視野に入っている場合には電気事業者が実質的に運営を、そこまで到達していない場合には日本原子力研究開発機構と民間事業者が実施主体に参画することが有益とされた。
曖昧模糊とした役割分担であるが、国が責任をもって開発を進めるべきとの主張が多かった。政策大綱での議論では軽水炉並みのコストで実用化されれば利用したいと表明した電気事業者だったが、原子力部会での議論は軽水炉相当分の負担を民間事業者に求めるものとなった。
また、2010年から検討が開始される第二再処理工場についても、核不拡散性の高いものとするためには「国の役割は極めて重要」とした。この工場が高速増殖炉用に使用済燃料を再処理する位置づけとなれば、高速増殖炉開発における官民の役割分担に準じた形で整理するべきという基本的考えが示された。
民間では負担が多くて担えない開発に対して国の負担で進めようとする姿勢がはっきりとみえる議論だ。
『原子力資料情報室通信』381号短信
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