島根県知事への要望書「島根2号機でのプルサーマルに同意しないでください」への賛同のお願い

島根県知事への要望書「島根2号機でのプルサーマルに同意しないでください」への賛同のお願い

 島根県、松江市、及び周辺自治体に対する島根原発2号機でのプルサーマルに同意しないよう求める全国からの申し入れを行います。みなさんの賛同を切にお願いします。

 中国電力は、昨年9月に島根原発2号機におけるプルサーマル計画についての事前了解申し入れを島根県と松江市に行っています。島根県は、その後「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」を立ち上げ、検討してきました。

 しかし、その懇談会はプルサーマルに関してほとんど議論さえせず、中国電力や国など推進側からの説明をシャワーのごとく聞かされ、反対側からの反論の機会さえ与えずにプルサーマルを「可」とする意見をまとめました。島根県は6月議会にこれを報告し、拙速に同意の意向を表明しようとしています。

 このスケジュールありきの県の進め方に対し、松江市は「住民の命に関わることをあまりに拙速に過ぎる」と批判し、住民の多くからも批判が集中しています。

 プルサーマルが計画される2号機はトラブルが絶えず、中国電力の安全管理能力自体が疑わしい事態が続いています。また、島根原発の近くには活断層が確認されていますが、中国電力が活断層は延長していないと言い切る場所から新たに活断層が発見され、1,2号機の耐震安全性は再検討が迫られています。現状は、プルサーマル計画の検討すらできる状態ではありません。住民の多くがこのような状態でプルサーマルが実施されることに危惧を抱く中、中国電力と国、島根県はなにがなんでもプルサーマル実施へと突き進もうとしています。

 全国でも、これまで計画された地域で多くの住民が強く反対し、まだ実施された原発はありません。私たちは青森県六ヶ所村でプルトニウムが生産されることも、島根原発も含め各地の原発でプルトニウムを使うことも強く反対します。性急な島根県の動きにストップをかけるための申し入れにご賛同ください。

【呼びかけ団体】

島根原発増設反対運動/人類愛善会/21世紀宗教者の会/平和・人権・環境フォーラムしまね/島根くらしといのちのネットワーク/「たべもの」の会/子どもの人権オンブズパーソン/米子市政研究会/鳥取県西部原発反対の会/原発はごめんだ広島市民の会/脱原発ネットワーク・九州/原発さよなら四国ネットワーク/原発さよならネットワーク高知/みどりと反プルサーマル新潟県連絡会/脱原発福島ネットワーク/浜岡原発を考える静岡ネットワーク/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/プルサーマル公開討論会を実現する会/原水爆禁止日本国民会議/グリーンピース・ジャパン/東京電力と共に脱原発をめざす会/原子力資料情報室/ストップ・ザ・もんじゅ東京/福島老朽原発を考える会

■申し入れは、県議会の始まる前の6月12日(月)を予定しています。新潟、九州、静岡、首都圏、関西、四国、中国他、各地から松江に集結します。

■要望書の文案を後に付けます。ご検討の上、賛同をお願いします。周りのみなさんに転送して、賛同を集めてください。

■状況の変化により、修正することもありえますが、よびかけ団体に一任してくださるようお願いいたします。

■要望書とは別に、より詳細な要望理由書を作成しています。でき次第送付致します。

■要望書文案のワードファイルまたはPDFファイルがご入り用の場合は阪上( sakagamitake@nifty.ne.jp )までお知らせ下さい。

■賛同については、恐れ入りますが、団体か、個人か、あるいは両方なのかが分かるようにお願いします。また個人については、所属または都道府県名を括弧書きで添えてください。個人名をネット上で公開することはしません(人数のみ)が提出する要望書には記載することを前提にしますのでご了解ください。

■賛同は、よびかけ団体または、阪上( sakagamitake@nifty.ne.jp )まで返信してください。
(阪上のメールは、29日?6月3日の間は返答ができません。恐れ入りますがその間の問い合わせは以下にお願いします。賛同は一方的ににどしどし入れておいてください。)

■郵便・FAXの場合は、
 〒690-0017 島根県松江市西津田7-7-5 島根原発増設反対運動
  TEL・FAX0852-25-3647
 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-19銀鈴会館405号 共同事務所AIR
  TEL03-5225-7213/FAX03-5225-7214 までお寄せください。

■提出行動への参加希望等も3日までは上記にお願いします。

賛同の締め切りは<6月8日(木)>です。よろしくお願いします。

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島根県知事への要望書(案)
島根2号機でのプルサーマルに同意しないでください
今優先すべきは島根原発の耐震安全性です

島根県知事 澄田 信義様
2006年6月12日(予定)
島根2号機プルサーマルを案じる全国の市民

 中国電力は昨年9月12日、島根原発2号機でプルトニウム混合燃料(MOX燃料)を使用するプルサーマルを2010年度までに始めたいと貴職に申し入れ、事前了解を求めています。しかし、その島根2号機はトラブルが絶えず、中国電力の安全管理能力が疑われる事態が続いています。その上、島根原発の耐震安全性は再検討が迫られています。現状はとてもプルサーマルどころではありません。

 プルサーマルにより安全余裕が削られることは中国電力も認めています。燃焼が進んだMOX燃料が、反応度事故(核暴走事故)や冷却水喪失事故の際に、コナゴナになって破裂する恐れがあるのに、その実証的研究は不十分です。事故が起きた場合はウラン燃料と比べて被害範囲は4倍に広がるという試算もあり、被爆地広島も含めて被害が広範囲に及ぶことが憂慮されます。プルサーマルの安全性の根拠として海外の実績が強調されますが、島根原発と同じBWRで現在動いているのはドイツの2基しかありません。そのドイツも脱原発政策を進めており、再処理は禁止され、プルサーマルも終焉の過程にあります。
 また、プルサーマルの後に残る使用済みMOX燃料は、持って行くところはどこにもなく、高レベル廃棄物として原発サイトに居座り続けることになります。
 1999年に市民が関西電力高浜4号機用MOX燃料のデータ不正を暴いて以来、東京電力福島第一3号機プルサーマルに対する訴訟、新潟県刈羽村の住民投票による東京電力柏崎刈羽3号機プルサーマルの拒否を経て、危険なプルサーマルに反対する全国的な大きな流れが形成されています。福島県、新潟県はプルサーマル了解を白紙に戻し、福井県知事も当面の実施を拒否しています。東電、関電のプルサーマルは全く目処が立っていません。そのため、本来なら東電や関電の後に実施するはずだった玄海、伊方、浜岡そして島根の各原発が矢面に立たされていますが、いずれも地元の住民から反対の声が挙がり続けています。
 使用済み核燃料を処理するために青森県に建設された六ヶ所再処理工場は、3月31日に強引に最終のアクティブ試験に入りました。その後、放射能を含む溶液の漏えい事故やプルトニウム被曝事故が立て続けに発生しています。再処理工場では、事故がなくとも、大量の放射能が大気と海に日常的に放出されます。そのため、海洋汚染を憂慮する声が三陸沿岸で広がっています。食品の汚染を憂慮する声は首都圏、関西など、全国に広がっています。
 六ヶ所再処理工場を稼働させるには、余剰プルトニウムを持たないという国際公約もあることから、プルトニウムを使ってみせる必要があります。島根2号機のプルサーマルは、工場の稼働を正当化するための口実となるものです。その意味で、青森県や三陸沿岸の放射能汚染に手を貸すものといえます。
他方で、島根2号機のプルサーマルは、余剰プルトニウム問題の何の解決にもなりません。日本は、英仏に約37トンものプルトニウムを既に保有しており、島根2号機も当面はこれを使う予定ですが、大半は東電分と関電分です。東電や関電のプルサーマルが止まっている限りは、大量のプルトニウムを使い切ることはとてもできません。それどころか、プルサーマルを口実にして六ヶ所再処理工場を稼働させることにより、かえって余剰プルトニウムが増えてしまいます。国際公約はいつまでも果たされず、世界の核拡散を助長し、核武装の懸念を世界中から受けるだけです。島根県がプルサーマルを急ぎ、わざわざ危険に近づく理由は何もないのです。
 再処理しなければ原発の使用済み核燃料がいずれあふれて困る、というのが再処理の実際上の動機であることを国も認めています。結局のところ、原発の排泄物に対する無策のツケを、青森県民、そして島根県民に押しつけようとしているだけなのです。

 今、全国の市民が島根原発について心配しているのは、プルサーマル以前の耐震安全性の問題です。
 昨年8月16日に発生した宮城県沖の地震の東北電力女川原発での観測結果から、現行の耐震設計審査指針に従う設計用基準地震動の作成方法には大幅な過小評価があることが明らかになりました。この事実を認定した金沢地裁は今年3月24日、北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを認める判決を下しています。北陸電力は志賀原発のプルサーマルの申し入れができないでいます。国は指針を改定し、今後、既設の原発についても再確認を行うとしています。
 まさにその折、今年5月5日に、島根原発のすぐ近くで、中国電力が活断層は延長していないと言い切る場所から新たに活断層が発見されました。島根2号機の場合、評価すべき活断層が大幅に伸びることから、新旧どちらの指針に従っても、活断層の活動によって発生する地震動は、設計時の想定を大きく超えると評価されるでしょう。プルサーマルどころか、ウラン燃料を用いた通常の運転すら安全性が保証されないことが示されたわけです。

 貴職が設置した「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」は、新たな活断層が発見され、島根2号機の耐震安全性の再検討が必要であることを承知しながら、5月8日にプルサーマルを「可」とする報告をあわただしくまとめました。耐震安全性に大きな疑問が生まれた原発について、プルサーマルの検討がなぜできるのでしょうか、誰もが疑問に思うでしょう。懇談会はほとんどが賛成の側からの説明を一方的に聞くだけの場で、実質的な議論がなかったと聞きます。委員の構成についても賛成派が圧倒的でバランスを欠いています。また、他県では当たり前の一般住民を対象にした公開討論会が開かれておらず、県民は、ほとんど意見を表明する場もありません。
 県民の命を守る使命を与えられた貴職に、まずは耐震安全性について徹底的に検証することを要望します。

以上

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松江市長宛(最後のパラグラフを以下に差し替え)

 私たちは、松江市がすばらしい景観と数々の文化遺跡などを活かし、発展されることを望みますが、島根2号機でプルサーマルが実施されるようであれば、せっかくの国際文化観光都市が台無しです。なにより、住民の命を第一に判断していただきたいと考えます。まずは耐震安全性について徹底的に検証することを要望します。

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周辺市長宛(最後のパラグラフを以下に差し替え)

 中国電力は県と松江市のみの了解を求めていますが、プルサーマルを実施すればより危険性は増し、被害の範囲も大きく拡大します。貴自治体と住民にとっても、決して看過することはできない事態であることをご理解いただきたいと思います。住民の命を守る使命を与えられた貴職に、中国電力が計画する島根2号機におけるプルサーマル計画に対し、反対を表明されるよう要望します。また、中国電力、島根県に対して、まずは島根原発の耐震安全性について徹底的に検証することを要請してください。