愛媛新聞での西尾漠のコメントなるものについて

 9月8日付愛媛新聞で原子力資料情報室の西尾漠共同代表が、今冬の電力需給について北海道電力では原発ゼロで乗り切れないというコメントをしているが、というお電話をいただいた。慌てて愛媛新聞に連絡し、当該記事をファックスしてもらった。
 確かに、西尾の指摘という形で「北海道などを除けば原発ゼロでさほど問題なく、乗り切れる。再稼働の必要はない」とある。電話で話したことを記者がまとめているので、西尾の発言どおりでないのは当然だが、発言の趣旨とも違っている。冬場の需給のことを聞かれたので、冬にピークが来るのは北海道電力だが、問題はないと答えたのが、上のコメントになった。
 そもそも記事は「原発ゼロ乗り切れた」「地元驚きの声」と大見出しがつけられているが、西尾としては驚くべきことではないということこそ言いたかった(「驚きの声」という話は電話では聞いておらず、記事で初めて知ったが)。西尾はまず、乗り切れるのは始めからわかっていた、節電が功を奏したというが福島事故前で酷暑だった一昨年夏を基準にしているので需要は減って当たり前、本気になれば無理をすることなくもっと節電はできた、そうすれば火力発電も抑えられた、電力会社は本気で節電をしなくてよいようにふるまっていた―ということを時間をかけて述べた。そのコメントは、記事には使ってもらえなかった。
 記事はむしろ、余裕がなかったと強調する四国電力の説明を長々と載せ、最後に西尾のコメントで締めくくっている。四電の言い分を載せないわけにはいかないものの、「よそはともかく四国では伊方原発の再稼働の必要はない」と読者に伝えたかったのかもしれない。
 しかし西尾としては、むしろ、節電は本気でなかったことを問題にしたかった。四国には行っていないが関西、九州にこの夏行った感想からすると、関東と比べても本気度は低かったように思う。
 コメントの一部に発言の趣旨と違うところがあったお蔭で、こうして言いたかったことを言わせてもらった。多謝。

 (西尾漠)