関電原発マネー不正還流事件 地検不起訴決定
関電原発マネー不正還流事件について、11月9日、大阪地検は全員を嫌疑不十分で不起訴にすると発表しました。告発弁護団による声明が発表されています。
「関電の原発マネー不正還流を告発する会」弁護団声明(2021年11月9日)
kandenakan.html.xdomain.jp/1109.pdf
「関電の原発マネー不正還流を告発する会」ウェブサイト
kandenakan.html.xdomain.jp/index.html
弁護団声明
(不起訴処分に対する抗議声明)
2021年11月9日
関電原発マネー不正還流事件告発弁護団
本日13時45分頃、大阪地検から、告発対象の全件を嫌疑不十分で不起訴にするとの連絡を受けた。検察のバッジ「秋霜烈日」が表す「厳正な検事の職務とその理想像」にはほど遠い処分である。
本件は、昨年10月に告発が受理されていた。告発内容は、①関西電力の取締役が福井県高浜町元助役の森山栄治氏(故人)の関連会社に対して事前情報提供、若しくは、事前発注約束を伴う不適正な金額での工事又は不要な工事を発注し、会社に対し、発注価格と正当な価格の差額に相当する財産上の損害を加えた特別背任罪、②関電の職員らが森山関連会社に対して事前情報提供、若しくは、事前発注約束を伴う不適正な金額での工事又は不要な工事を発注し、会社に対し、発注価格と正当な価格の差額に相当する財産上の損害を加えた背任罪、③関電の取締役らが、森山から、森山関連会社に業務を発注するにあたり工事情報の事前提供又は事前発注約束など便宜を図られたい旨の独占禁止法19条に違反する不正の請託を受け、森山及びその関連会社から金品を受け取り財産上不法の利益を収受した取締役等の収賄罪、④関電の取締役らが、関電の役職員が森山らから金品を受領していたことに関して修正申告及びそれに伴う追加納税を行うこととなった者に対する追加納税分の補填を行った業務上横領罪、⑤上記④の事実関係についての特別背任罪、⑥関電の取締役らが、福島第一原発事故後の収支悪化を受けて減額した役員報酬分について2億5900万円の補填をした特別背任罪である。
大阪地検はいずれも嫌疑不十分で不起訴にするとのことだが、森山関連の案件は、長期間、高額に及んでおり、構成要件に該当する可能性が極めて高く、強制捜査によって証拠資料を入手すれば起訴につながったと考えられる。また、報酬減額分の補填、追加納税分の補填は、そもそもあってはならないことで、国税も問題にしており、違法性は明らかである。これらの違法行為は公益企業である電力会社の信頼失墜の程度、そして、それが社会に与えた影響においても、「戦後最大の経済犯罪」というべきである。
このような戦後最大の公的経済犯罪を見逃すことはありえないことである。
本件を不起訴とすることは、巨悪をはびこらせるだけである。「巨悪を眠らせない」という公益の守護者としての検察の権威を著しく失墜させ、検察の「司法の前衛たる役割」を放棄するものである。
関西電力には、土肥元検事総長等、過去から現在に至るまで、多くの元検察幹部が役員に就任している。また、同様に、元検察幹部が本件の調査に関与し、「不適切だが違法ではない」として刑事事件にはならないと評価したこともあった。今回の不起訴が、そのような検察OBに対する配慮であるとすれば言語道断である。
告発人らは、事案の真相を明らかにすべく、直ちに検察審査会への申立を行う。
以上