米・印原子力協定 : IAEA理事会に手紙を送付しました

昨日(9月10日)、アボリション2000の米・印原子力協定作業グループはインドとの保障措置交渉についてのIAEA理事会に手紙を送りました。英語が次のページにあります:
cnic.jp/english/topics/plutonium/proliferation/usindiafiles/iaealet10sep07.html

主な内容は:
1) インドのいくつかの核施設に対するインド特殊な部分的保障措置は国際スタンダードとなっている全面的保障措置制度を空洞化します。
2) インドが保障措置を受けない施設で核分裂性物質を作り続けることができるので、部分的保障措置は核不拡散上の意味がありません。
3) インドは国連安保理決議1172号(1998年6月6日)とIAEA総会決議GC(42)/RES/19(1998年9月25日)に違反しています。

今週、IAEAの理事会の会議が行われています。インドの左よりの政党が米・印原子力協定に反対し政府内で交渉が続けられているので、今回IAEA理事会は詰めた話をしない見込みです。しかし、インド国内の反対がおさまればIAEA理事会で米・印原子力協定を止めることが難しいでしょう。私たちの目的は少しでも時間を稼ぐことでした。

やはり、原子力供給国グループ(NSG)に影響を与える方が効果が高いです。次のNSGの会議は11月だそうです。(9月末にもインフォーマルな集まりがあるそうです。)そのために、各国の核廃絶・核不拡散運動が自分の国の政府に反対の声を伝える必要があります。米・印原子力協定に懸念しているNSG加盟国はいくつかあります。例えば、アイルランド、オーストリア、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、ベルギー、ノルウェー、日本など。特に、被爆国日本に、核廃絶・核不拡散をないがしろにする米・印原子力協定に対して、NSGで拒否権を行使してほしいです。毎年、国連総会の決議で、日本はインドなど核拡散防止条約の未加盟国に非核兵器国として加盟するように呼び掛けています。NSGのルールからインドを免除することを認めれば、この決議をおろそかにすることになります。

原子力の分野で、インドと貿易することで利益を得る人たちは政府に働きかけています。日本国際フォーラム(電力会社、原発メーカなどがそろっている団体)は9月7日に日本がインドとの原子力協力を進めるべきだという意見を発表しました。反核運動の側も政府への働きかけを強めて、政治的なハードルを高くするように努力しなくてはなりません。

最近出ている米・印原子力協定の問題点をあげている二つの記事(両方とも英語)を紹介します。

チョムスキーらは米・印原子力協定の軍事的な異議の切り口から、三つの問題点をあげてます:
1)国際法を弱くするブッシュ政権のさらなる企てです。
2)南アジアの不安定さを悪化します。
3)イランを隔離することをもくろんでいます。
Noam Chomsky et al, “Why we oppose the Indo-U.S. military ties”, The Hindu, 3 September 2007
www.thehindu.com/2007/09/03/stories/2007090355521100.htm

ジミー・カーター元アメリカ大統領の記事の論理は、むちゃくちゃなところはありますが、米・印原子力協定は国際核不拡散体制を空洞化すると主張しています。
Jimmy Carter, “Undermining peace”, The Guardian, 9 September 2007
commentisfree.guardian.co.uk/jimmy_carter/2007/09/undermining_peace.html

フィリップ・ワイト
アボリション2000の米・印協定作業グループのコーディネーター

Citizens’ Nuclear Information Center
2F-B Akebonobashi Coop, 8-5 Sumiyoshi-cho, Shinjuku-ku,
Tokyo, 162-0065, Japan
Phone: +81-3-3357-3800
Fax: +81-3-3357-3801
Web: cnic.jp/english/


→→ 2007/8/14 【米印原子力協力に関するアボリション2000の各国政府への要請書 PDF】