インドの原子力協力関係に関する提案の見直しを

インドの原子力協力関係に関する提案の見直しを

 わたしたち国際的な反核ネットワーク「アボリション2000」は1月7日?8日に、45カ国の原子力供給国グループ(NSG)の外務大臣にあてて、米国とインドの原子力協力関係を見直すよう要請する手紙を送りました。世界の23カ国から、核廃絶・核不拡散の専門家27人を含め、120以上の個人と団体が賛同署名をしています。

 国連安保理決議1172号(1998年6月6日)は、インドとパキスタンに対し、包括的核実験禁止条約(CTBT)への署名ならびに兵器用核分裂性物質の生産中止を求めました。しかし、未だにインド政府はそれを実行に移していません。むしろ、インドは核兵器物質の備蓄をふやすことを狙っている恐れがあります。

 インドは、限定された数の追加的な「民生用」原子炉に対して、「インドのみに適用される」保障措置のもとにおくことを要求しています。この保障措置は、核実験再開によって燃料供給が滞った場合、インドがIAEAによる監視を中止させることが可能になるものです。
 1995年のNPT再検討・延長会議では、すべてのNPT締約国はフルスコープの保障措置を受けることを核燃料の供給条件とするという原則を承認しました。にもかかわらず、米・印の新たな原子力協定はインドだけに保証措置の特別な免除を与えるものです。

 2005年7月、インドは保証措置協定の追加議定書を締結することを約束しました。しかし、今もってこの約束は守られていません。そのような状況の中で、NSGがインドを規定の枠外におくという決定はまったく理に反しています。

 IAEA保証措置ではプルトニウム再処理、ウラン濃縮、重水の生産といった機微の技術のコピーや兵器計画への転用を阻止できません。にもかかわらず、米国は他の供給国がそれらの技術をインドに譲渡することを可能にするNSGガイドラインを提案しており、インドもそれを求めています。

 このような次第ですから、核兵器廃絶・核不拡散をもとめる国際世論からして米・印の原子力協力協定は見直しが不可欠です。そのカギをにぎっているのは、NSGの45カ国といっても過言ではありません。従来、NSGおよびIAEAはコンセンサスで決定をおこなってきました。わたしたちが、NSGとIAEA理事国の外務大臣に手紙を送った所以です。


 要請の手紙と賛同者のリストを次のリンクからご覧いただけます。

英語(手紙と賛同者のリスト)
cnic.jp/english/topics/proliferation/campaign/usindiafiles/nsgiaea7jan08.html

日本語(手紙のみ)
cnic.jp/files/IntlNSGletterJ20080107.pdf