5月23日(金)長尾原発労災裁判の判決日のスケジュール

 5月23日(金)は、長尾原発労災裁判の判決日です!

 東京電力を相手に損害賠償を求めて闘ってきた長尾光明さんの裁判(2004年10月、東京地裁に提訴)は、5月23日午後に、いよいよ判決が言い渡されます。当日の裁判傍聴や要請行動、報告集会に、多くの皆さんがご参加下さいますようお願い致します。

【スケジュール】

12:15?12:50  東京地裁(地下鉄霞ヶ関A1出口)前でビラまき
         http://www.courts.go.jp/tokyo/about/syozai/tokyotisai.html

13:10?     東京地裁527号法廷で判決!

14:00?14:30  司法記者クラブで会見

会見後?16:00  東京電力(千代田区内幸町1-1-13、新橋駅5分)および文部科学省に要請行動(千代田区霞ヶ関駅3-2-2、銀座虎ノ門駅新連絡口11番直結)

18:30?     全水道会館で報告集会(文京区本郷1-4-1、TEL 03-3816-4196、JR水道橋駅東口2分)
         http://www.tokyo-csw.org/comittee/kenshuu_2004_0610b.html

東京電力を告発する長尾光明さんの原発裁判を支援する会

責任団体:
よこはまシティユニオン
関西労働者安全センター
原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議

事務局・連絡先:
よこはまシティユニオン
神奈川県横浜市鶴見区豊岡町20-9-505
TEL/FAX 045-575-1948

 

長尾原発労災裁判とは

◆労災認定された疾病で東京電力に損害賠償を求めている初めての裁判です。

◆被ばくから長い潜伏期間を経て発症した放射線障害で賠償を求めた初めての裁判です。

◆東京電力は、労災認定(国の決定)はもとより、病名自体も争っています。

1 裁判に至る経過

 配管工の長尾光明さん(故人・大阪市)は、石川島プラント建設の労働者として、1977年?82年の間、東京電力福島第一原子力発電所などで働きました。その際の放射線被ばくが原因で、退職後に「多発性骨髄腫」(白血病と類似の血液性のガン)になりました。労災職業病の相談に応じる団体や被ばく問題に取り組む市民団体の支援も受けて、2004年1月には、労働基準監督署から努災認定されました。多発性骨髄腫の初めての労災認定ということで、国は専門家委員会を開いて慎重に決定したのです。その間に、一人でも入れる労働組合に加入し、会社や電力会社などに情報開示や損害賠償に関する団体交渉を求めてきましたが拒否されました。誠意のなり会社の対応を正すために、2004年10月、「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)に基づいて、東京電力に約4430万円の民事損害賠償を求める裁判を東京地裁に提訴しました。

2 法廷で争われたこと

 通常の労災民事損害賠償裁判では、会社の責任や過失がどの程度あるのかが大きな争点になります。いくつかの会社の労働者が混在するような現場であると、どの会社にどのような安全配慮義務があったのか、本人の過失もあるのではないかなどの立証に時間がかかることが少なくありません。しかしながら、原賠法では、過失の有無とは関係なく、因果関係さえ認められれば、全ての賠償責任を電力会社が負うことになっています。労災認定されたということは、国が因果関係を認めたことになります。ところが、東電は国の決定は間違いであり、「多発性骨髄腫と放射線は関係がない」と主張し、さらに「多発性骨髄腫」の診断そのものが間違いであるとする医師の意見書を何度も提出して、争ってきました。そのため訴訟は大変長くかかってしまいました。

3 結審直後に長尾さんが亡くなられる

 2007年12月7日、ようやく裁判は結審となりました。その後12月13日、長尾さんは亡くなられました(享年82歳)。亡くなる少し前までしっかりとした口調で、「東電は許せないが、それ以上に許せないのは東電に頼まれて多発性骨髄腫を否定する医師だ。主治医の先生が、こんなにきちんと治療してきてくださっているのに、診察もしないでいい加減なことを言わないでもらいたい」とおっしゃっていました。「親父は判決を本当に楽しみにしていたのです。聞かせてやりたかった」と、息子さんは話されています。ご遺族が裁判を承継されました。

4 注目される判決

 わたしたちは、勝利判決を確信しています。東電の多発性骨髄腫否定論、因果関係否定論に対して、原告側弁護団は逐一具体的に反論を尽くしました。証拠調べでは、ほとんどが多発性骨髄腫め診断が正しいかどうかに費やされましたので、それ以外の争点で棄却されることはまずないと思われます.
 いずれにせよ、東京電力の態度は許しがたいものであり、原賠法の趣旨を踏みにじるものです。つまり、原子力産業が本質的に極めて危険であるからこそ、わざわざ特別の法律を制定して、過失を問わず、かつ責任を集中する形で賠償する仕組みを作ったのです。一人の労働者が、被ばくが原因で長年経過してから病気になった、それを国(厚生労働省)が認定したのですから、速やかに賠償するべきなのです。もしも一人一人の被害者の診断や因果関係を争うとすれば、わざわざ特別の法律を作った意味は全くありません。ちなみに、被ばく後10年以上経って電力会社が賠償した原子力損害については(長尾さんもそれに当たります)、国が電力会社に補償することになっています。それを理由に国(文部科学省)が補助参加して、東電を応援してきたことも併せて批判されなければなりません。
 万一、請求が棄却されるとすれば、原賠法は抜本的な改正が必要となるでしょう。つまり、仮に原発事故などが起きて住民被害が生じても、長年経ってから発生、請求したものについては、国が病気として認定したものすら賠償を否定されることがあり得ることなります。放射線障害の因果関係の特定が難しいことは事実です。結局誰も何も賠償しないということになりかねないでしょう。