新刊 『まるで原発などないかのように――地震列島、原発の真実』

『まるで原発などないかのように――地震列島、原発の真実』

まるで原発などないかのように?地震列島、原発の真実

近頃地震が多い。
「不安はあるけど、私ひとりで心配しても……。
 原発はクリーンなエネルギーだというし……。
 電力会社を信じて……何とかなるでしょうに……。」
原発の寿命はおよそ2倍に延ばされた。
地震で大きく壊れた原発もある。

原発老朽化問題研究会 編
現代書館
定価2300円+税

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まえがき

 おだやかな日々が一瞬の間に、修羅の場になることがあります。逃げる間がない。からだの自由が奪われてしまった。ようやく逃げようすると、道路がふさがっている。

 「天災は忘れたころにやってくる」と、室戸台風(一九三四年)の大きな被害のあと、物理学者の寺田寅彦は書きのこしました。
 「おびたたしく大地震ふること侍りき。そのさま、よのつねならず。山はくづれて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土裂けて水湧き出で、巌割れて谷にまろび入る。」としるしたのは、十三世紀、鴨長明です(『方丈記』)。
 一九八六年、よもやと思われた大惨事がチェルノブイリでおきました。ヒロシマ・ナガサキにつながっています。科学技術文明が高度に発達した現代では、自然災害に人為的というべき事故がかさなったらどうなるでしょうか? はてしない恐怖がひろがります。
 原発の老朽化はとくに心配なことの一つで、そう考える有志があつまって研究会をつくっています。そのうちの何人かで著わしたのが本書です。
 わたしたちは、日常的に電気の恩恵にあずかっていて、原発のことなどは忘れがちでしょう。しかし、もしかしたら、とお考えの方に本書をおすすめしたいとおもいます。内容によって、さっと読める章と、そうでない章とがあるかもしれません。気に入ったところからお読みいただいてかまいません。かんたんに言うと、つぎのような内容です。
 第一章:原発には十分な「安全余裕」があるという、本当のような神話。
 第二章:原発でじわじわと進行しているひび割れと放射線による材料の劣化。
 第三章:じっさいにおこった日本の原発事故の、ヒヤッとする事例。
 第四章:去年の中越沖地震と柏崎刈羽原発におこった事実の深い闇。
 第五章:やがてくる東海大地震にたいして住民がおこした運転差し止め訴訟。
 最後の章は、原子力という選択は正しかったのか、これからどうすればよいのか。

 お読みになったうえで、忌憚のないご意見、ご批判をいただければ幸いです。

 二〇〇八年 残暑のきびしい候
 執筆者を代表して 山口 幸夫

まるで原発などないかのように*目次

まえがき

第一章 はびこりはじめた「安全余裕」という危険神話  田中 三彦
1 まるで原発などないかのように
2 「安全率」とは何だろう?
3 原発はこんなに「不確実」
4 「三つの安全余裕」のでたらめぶり

第二章 材料は劣化する――大惨事の温床  井野 博満
1 材料劣化で原発事故が起こった
2 ステンレスの応力腐食割れは防げない
3 中性子照射で圧力容器は脆化する
4 地震で材料は強くなるという珍説
5 工学は価値中立的か

第三章 原発の事故はどう起こっているのか  上澤 千尋
1 柏崎刈羽原発を地震が襲った
2 原子炉臨界・暴走、制御棒落下事故
3 発電用タービンの破壊
4 その他の事故について

第四章 中越沖地震と東京電力柏崎刈羽原発 武本 和幸
1 中越沖地震
2 起こるべくして起こった柏崎刈羽原発の地震被害
3 中越沖地震で起こったこと
4 海底活断層と復興ビジョン
5 基準地震動
6 幸いだった「小さな地震」と「余震の少なさ」

第五章 東海地震と中部電力浜岡原発――運転差し止め一審裁判の概要  只野 靖
1 なぜ、日本は世界有数の地震国であると言われているのか?
2 浜岡原子力発電所は東海地震の震源真上に建設された
3 耐震設計とは
4 中央防災会議による東海地震の地震動
5 では、どのような地震を考えるべきか
6 では、原発のどこが危ないのか?
7 中部電力の「余裕論」と田中三彦氏の証言
8 請求棄却判決の非科学性
9 アスペリティの位置はどのように定められたかについての溝上証言の信用性
10 最後に

第六章 原発は正しい選択だったか  山口 幸夫
1 原子力とは
2 原子力ルネッサンスか?

日本の原子力発電所一覧

あとがき