声明 柏崎刈羽7号機の再開に抗議する

声明 柏崎刈羽7号機の再開に抗議する

2009年5月8日

原子力資料情報室 
共同代表 山口幸夫

 新潟県知事は、昨日の県議会全員協議会において所信を表明し、柏崎刈羽原発7号機の運転再開を認めることに同意した。これを受けて、今日にも、東京電力は起動試験から本格運転への作業を始めると伝えられている。まことに遺憾である。

 柏崎刈羽原発の1?7号機は、2007年7月、設計基準地震動を遥かに超える地震動に直撃された。原発史上はじめての出来事であった。地震から1年10ヵ月後の現在、1?6号機のそれぞれの損傷の全容は未だ調査点検中にある。もっとも損傷が小さかったと見なされる7号機を単独にとりだし、ほぼ調査点検がすみ、対策が立ったとして、再開へ進むことは大変危険である。

地元と新潟県民の不安が払拭されない理由は、県の「技術小委員会」での議論が未だ途中にあって、疑問点が解消されていないからである。柏崎刈羽原発から電力を供給されている首都圏の私たちとしても、その思いを共有するところである。

 新潟県には「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」のもとに、「地震、地質・地盤に関する小委員会」と「設備健全性、耐震安全性に関する小委員会」がある。県民の安心・安全を目指して、この二つの小委員会が、政府の諸審議会の議論に比べて、よりつっこんだ議論をしてきたことを私たちは高く評価する。
 しかるにこの3月、「技術委員会」はみずからの議論を徹底させぬまま、「小委員会」で進行中の議論を、あわててむりやりに纏めてしまった。以下の疑問が置き去りにされてしまった。すなわち、
・佐渡海盆東縁断層の存在
・原子炉・タービン建屋の不規則変動
・2?4%より小さい範囲の塑性歪みの存在
・目視点検の不十分性
・敷地に近接した新たな断層の存在
・再循環ポンプのモーターケーシングの強度の不安
などである。

 これでは、地元の人たちや広範な県民の安心を得ることは出来ない。1955年の核兵器に関する「ラッセル・アインシュタイン声明」の中に、「もっとも多く知る人がもっとも悲観的である」とある。安心・安全を得るために、「小委員会」の議論や県と政府の説明会で多く知るようになった県民が多い。この人たちの不安を取りのぞくために、
(1)早急に「地震、地質・地盤に関する小委員会」を再開し、論点をつめること
(2)見解が対立している学者・研究者を招き公開討論会を開くこと
を強く要望する。そして、画期的な新潟方式を実りあるものにするためにも。

→→ 英文抗議声明
cnic.jp/english/topics/safety/earthquake/kk7restart8may09.html