エントロピー学会誌 特集:『原子力発電の新局面 ― ますます深まる矛盾』
『えんとろぴぃ』
エントロピー学会誌 第66号
2009年7月25日
エントロピー学会発行
500円
原子力ルネッサンス、二酸化炭素を排出しない原発、というキャッチフレーズが無視できなくなったと危惧して、エントロピー学会が表記の特集を組んだ。テーマは4つで、原子力の本質(藤田裕幸、小出裕章)、核燃料サイクルと廃棄物(小林圭二、広瀬隆、鈴木国広)、原発の安全性(湯浅欽史、井野博満)、そして、スウェーデンの場合(佐藤吉宗)である。
原子力が気になっていたけれど、忙しくて取り組む余裕がなかった人に、一通りは知っているが知識を整理したい人に、スウェーデンは原発廃止のはずだったのに、といぶかしんでいる人に、有難い本である。執筆者たちの労を多としたい。
(や)
特集:『原子力発電の新局面 ― ますます深まる矛盾』
はじめに
[企画世話人 井野博満・藤田祐幸・山見拓]
1.原子力の本質
電源としての原子力と軍事としての原子力
[藤田祐幸]
原子力の場から視た地球温暖化問題
[小出裕章]
2.核燃料サイクルと廃棄物
危険で無意味な「もんじゅ」運転再開、高速増殖炉開発
[小林圭二]
高レベル放射性廃棄物
[広瀬隆]
高レベル放射性廃棄物 ― 将来世代への恐るべき付け ―
[鈴木国弘]
3.原発の安全性
地震と原発 ― ”原子力村”での産官学癒着の断面 ―
[湯浅欽史]
原発の特別性と技術の平凡性、安全評価の立場性
[井野博満]
4.特別寄稿
原発の増設ではなく、原発依存の抑制に取り組むスウェーデンの意欲
[佐藤吉宗]
5.紹介
新潟日報社特別取材班著:「原発と地震」
[近藤凱彦]
名古屋懇談会 特別企画
定年退職にあたって去来することごと(1)
[河宮信郎]
覚書・論考
一般家庭における太陽光発電の費用・便益分析
2008年のデータ分析と、ドイツの固定価格買取制度の検討
[深澤竜人]
自然美の固有価値とエントロピー
[橘高彫斗]
環境倫理覚書21 天賦人権は妄想なりや否や
― 加藤弘之の名論「人権新説」の現代的意味 ―
[山内友三郎]
解説
エントロピー経済学入門(第2回):市場と生命における価値の生産
[藤堂史明]
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