【原告団声明】 玄海3・4号機再稼働差し止め仮処分即時抗告審 福岡高裁棄却 国の理不尽な原発政策を司法が追随

【不当決定!福岡高裁・玄海再稼働抗告審】 – 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

7月10日、福岡高等裁判所(山之内紀行裁判長、川崎聡子裁判官及び矢崎豊裁判官)は、玄海3・4号機再稼働差止仮処分の抗告審において、我々原告(抗告人)の申し立てを棄却する決定を出した。私達は福島原発事故直後の2011年7月7日、玄海2・3号機の再稼働への動きに危機感を覚え、急遽仮処分の申立をした。その後、新規制基準の下で3・4号機が申請されたことを受け、2号機を取り下げ、4号機の追加申し立てをした。

 地震大国日本において、ひとたび原発事故を起こせば、どれだけの犠牲が暮らしに降り注ぐのか、命と健康を奪い、取り返しの付かないことになるのかという事実に目を向けず、極めて不当な判決である。
 福島第一原発事故で突然住民は苦しみ悲しみの中に突き落とされた。8年以上経った今もなお事故の原因も、原発をすすめてきた人たちの責任も明らかにされず、理不尽極まりない。
 一審で佐賀地裁立川毅裁判長は、九電の主張を認め「運転により重大な被害が生じる具体的な危険が存在するとは認められない」と司法不在の不当決定を言い渡した。

 福岡高裁即時抗告審での約2年間の争点は3項目。
①基準地震動が過小評価である。現行の入倉・三宅式に代えて武村式を用いるべきである。地震は過去の地震の平均値で起きるものではなく、「ばらつき」の考慮が必要だが、されていない。また地震加速度は片岡式を用いるべきである。

②経年劣化による配管破損。現行の検査体制では破壊を引き起こすような「あってはならない」亀裂を確認することができず、配管の安全性が確保されているとは言えない。

③抗告審で追加した争点、火山破局的噴火の可能性。九電は「破局的噴火は予測できるので、使用済み核燃料等の移動対策はできる」と言うが、予測などできず、原発の立地は不適である。「破局的噴火のリスクは発生確率が低いから、社会通念上容認するべき」だという広島高裁2018年9月異議審決定の誤りを指摘した。

 本決定は、抗告人の主張を踏まえた判断をせず、佐賀地裁の誤りをたださないままに、不当決定を出したのである。

 地震はいつどこで起きてもおかしくない。人々は不安を感じながらも生きていくしかなく、自然災害は止めることはできない。しかし、原発は人で止められる。玄海原発で事故が起きれば、偏西風に乗って日本中を放射性物質が風に乗って流れ落ちていく。逃げることなどできない。原子力避難計画では住民は守れない。犠牲の上にしか成り立たない原発は一日も早く止めるべきである。

 私たちは、裁判で闘ってきた市民の力を糧に、九州電力、国と佐賀県に対し、原発の抱える危険性を訴えていく。そして、全国の仲間たちと連携して原発を止めるまで、諦めないで裁判闘争と伝える運動を続けて行く決意である。

2019年7月10日
玄海原発3・4号機再稼働差止仮処分申立人一同
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

→詳しくはこちらから