新刊 『徹底検証 21世紀の全技術』
徹底検証 21世紀の全技術
現代技術史研究会編
責任編集=井野博満・佐伯康治
藤原書店
3800円(税別)
科学と技術は対比して語られることが多いが、「市民科学」にたいして「市民技術」という言葉は聞かない。市民にとっては、「科学」より「技術」の方がより切実なのに。
この本の著者たちは、持続可能な社会を望むなら、これまでの技術の本質を明らかにしたうえで、これまでの現代技術の常識を覆さなければならないと考えた。したがって、技術は、いままでとは違った方向へ転換するしかない、そして、人と人の関係を築きなおすものでなければならない、と主張する。わたしは、ようやく、「市民技術」と呼ぶべきものが姿を現してきたかという感慨を抱いた。故・高木仁三郎さんが遺著で述べた「パッシビズムの技術」に通底する考えが展開されている。
第1部「生活圏の技術」で6章まで、第2部「変わりゆく産業社会の技術」が7-12章、第3部「技術がもたらす自然と社会の崩壊」は13-17章。終章は「21世紀の技術はいかにあるべきか」で、全章をまとめている。
21世紀はまだ90年もあるのに全技術なの、と怪訝に思う人にもお薦めしたい本である。
(や)
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