NRC、クリアランス導入を無期延期

NRC、クリアランス導入を無期延期

 米原子力規制委員会(NRC)は6月1日、事務局が案をまとめたクリアランス制度の制定を無期限に延期することを、5人の委員の全員一致で決めた。同様の制度は1990年にも導入されようとしたが、議会に阻まれたことがある。
 クリアランスに反対してきた「懸隔補填委員会」Committee to Bridge the Gap「原子力情報資料サービス」Nuclear Information and Resource Service「パブリック・シチズン」は3日に共同のプレスリリースを発表し、決定を歓迎した。
www.commondreams.org/news2005/0603-21.htm
その上で、制度案はもともとNRCが事務局に命じてつくらせたものであり、延期は一時的なものだろうと、警戒は怠っていない。NRC自身が延期の理由として「いくつかの優先課題がある」としており、原発新設の動きへの対応と見られている。新設許可の前に世論を刺激したくないとの思惑があるというのである。
 そしてまた、現状でもケース・バイ・ケースの個別審査を受ければクリアランスは可能とされている。
 とはいえ、NRCによる一律的クリアランス制度の導入がストップした意味は大きい。それは、「無数の環境保護グループの反対」の成果である(プレスリリースでは触れられていないが、金属業界やコンクリート業界もクリアランスに反対している)。
 翻って日本では5月13日、クリアランス制度の導入をふくむ「原子炉等規制法改正案」が参議院本会議で可決され成立してしまった。ただし、規制を解除された放射性廃棄物の再利用は、制度が定着するまでの間、電力会社内での限定利用となる。電力会社の自主的措置だが、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会などで議論し、透明公開のプロセスで判断していくとの答弁がなされているので、反対の世論を高め、電力会社内から外に出させない運動には十分に成算がある(詳しくは末田一秀さんのホームページ参照。http://homepage3.nifty.com/ksueda/)。
 あきらめずに多くの人に働きかけ、アメリカの市民運動の勝利に続こう。