7/26 福島第一原発の被ばく労働に関する関係省庁交渉

7/26(火)福島第一原発の被ばく労働に関する関係省庁交渉

福島第一原発の被ばく労働に関する関係省庁交渉を、原子力資料情報室、ヒバク反対キャンペーン、原水爆禁止日本国民会議、アジア太平洋資料センター(PARC)、福島原発事故緊急会議被曝労働問題プロジェクト、全国労働安全衛生センター連絡会議で実施します。

事前に要請書を送付していますので、当日はそれに従って関係省庁の見解を受けて議論を進める予定です。
多くの方のご参加をお待ちしています。

【事前提出した要請書PDF】(当日はこれに従って交渉を進めます。ご持参ください)

【日時】2011年7月26日(火) 13時30分~15時30分(予定)
    ※13時から衆議院第1議員会館入り口で通行章を配布します。

【場所】衆議院第1議員会館 多目的ホール
     http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kokkaimap.htm

【参加・撮影】どなたでもご参加いただけます。どなたでも撮影・録音ができます。

【参加予定省庁】厚生労働省、経済産業省、文部科学省

問い合わせ
全国労働安全衛生センター連絡会議 澤田(090-6668-9116)
e-mail:isiwata.sekimen●gmail.com ●を@に変えて送信してください。


【要請書PDF】

2011年7月11日

厚生労働大臣
細川律夫 様
経済産業大臣
海江田万里 様
文部科学大臣
高木義明 様

原子力資料情報室
ヒバク反対キャンペーン
原水爆禁止日本国民会議
特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)
福島原発事故緊急会議被曝労働問題プロジェクト
全国労働安全衛生センター連絡会議

福島第一原発で働く労働者の安全衛生に関する要請

貴職らの日ごろのご活躍に敬意を表します。
福島第一原子力発電所の事故から4ヶ月が経ちました。国や電力会社などが想定していなかった事態に対して、なし崩し的な規制緩和が行われた上に、放射線管理のずさんな実態が次々に明るみに出ています。今日の事態を招いていることの検証を随時行い、対応の修正を図らなければ、事故そのものの収束を遅らせ、無用な被ばく労働とそれによる健康被害を強いることになります。
私たちは、4月26日、5月16日、6月17日、6月21日に厚生労働省などと、被ばく労働問題を中心に話し合いを行いました。それらも踏まえて、率直な情報交換と問題解決のために下記の通り申し入れますので、ご回答よろしくお願い致します。

1 「緊急作業」の被ばく線量上限250mSVへの引き上げ

結局3月14日当時、被ばく線量を正確に測定することすらできず、誰が働いていたのかをきちんと把握できていないことに象徴される通り、安易な上限引き上げは、ずさんな放射線管理しか生まなかったと言わざるを得ない。

①改めて放射線障害防止規則の「緊急作業」を詳細に定義し直し、安全教育および健康管理などの法整備、行政指導を早急に図ること。

②とりあえず上限線量を100mSVに戻し、何mSVにすべきかを再度議論し直すこと。

2 電離放射性障害防止規則第4条(年間50mSVの上限を指導しないこと)の規制緩和

かつて労働基準法違反の賃金未払いについて、その指導をわずか過去2ヶ月にとどめるという非公開の通達があったために、明白な賃金未払いが黙認された。それに優るとも劣らぬ違法通達である。結果としては、東京電力が被ばく労働についてマスコミなどに詳細を公開する被ばく線量の公開の基準が50mSVや100mSVではなくて、100mSVや250mSVになっている。

①「緊急作業に従事した労働者のその後の緊急作業以外の放射線業務による線量に係る指導について」(基発0428第1号)をただちに撤回すること。

②規則で明示した数値や年限についての指導基準を行政の裁量で変更した法的根拠を明らかにすること。

③50mSVを超える放射線を被ばくした労働者の1年間の雇用および賃金、100mSVを超える放射線を被ばくした労働者の5年間の雇用および賃金を東京電力が保障ないし補償するように指導すること。

④経済産業大臣は、平成22年(ママ)4月25日付厚生労働省作成の「放射線業務従事者の線量限度について」において、「今後50mSVを超える者が約1,600名と試算される」、「当該50mSVを超えた者にも放射線業務に従事してもらわなければ他の原発の安全性の確保が困難となる」と判断された根拠となるデータを公表すること。

⑤厚生労働大臣は、緊急作業において1年間につき50mSVを超えた場合に電離放射線障害防止規則第4条違反とならない解釈の根拠を明らかにすること。

⑥3/14において緊急作業時限度を250mSvに変更することが決定されたということが、前回の交渉で経産省担当者より述べられたが、具体的な経緯の説明がなかったので、誰の求めで、誰が検討し、誰によって決定されたなどの具体的な経緯について、文書で説明されたい。これは、50mSv問題においても同様に対応されたい。経産省、厚労省、文科省のそれぞれについて求める。

3 労働基準、安全衛生指導態勢の確立

とにかく厚生労働省の動きは遅きに失した。私たちが交渉して指摘するまでもなく、監督官を派遣していれば、ここまでずさんな放射線管理や労働契約の不備などは起きなかったはずである。

①直ちに全国の原子力発電所を監督指導したことのある労働基準監督官や経験豊富な監督官を、福島局や現地に交代で常駐させる態勢をとること。

②『東日本震災復旧・復興安全プロジェクト』を参考に、厚生労働省、東電、協力会社、下請孫請・直接雇用労働者の「安全衛生協議体制」を作り、安全衛生指導を強化すること。

4 福島第一原発事故による被ばく労働者の健康管理と安全教育
自社の社員に大量被ばくを余儀なくさせ、誰が働いているのかも把握できず、発注先企業に任せてきた東京電力に、長期にわたる健康管理ができるはずがない。一方で現行の被ばく線量の記録・管理体制も法的根拠がはっきりしない。企業や外郭団体ではなく、国が労働者個人を把握するべきである。

①現時点で厚労省が把握している福島第一原発の緊急作業員の被ばく検査の結果について、被ばく線量と人員数及び名寄せによる個人識別状況の実態を明らかにすること。

②国が一元的に健康管理責任を負うとともに、事業場などを通じてではなく、労働者本人が自らの情報に自由にアクセスできるようにすること。

③現在、福島第一原発で入域する労働者に対して行われている安全教育の全内容と使用され、労働者に配付されている教材の現物を開示し、私達に提供すること。

5 経済産業省の責任

経済産業省が規制緩和を求めた結果は上記のとおりである。今、経済産業省がすべきなのは、企業を超えた事故収束に向けた努力である。

①全国の原子力発電所を止めたり、定期検査業務を中止してでもベテランの労働者を事故収束作業に従事させるように電力会社や関連事業所に要請すること。

6 文部科学省の賠償に対する考え方

かつて文部科学省は、長尾原発労災裁判で、厚生労働省の労災認定を否定した東京電力を支援した。東電の代理人は法廷で、「原発で働いて多発性骨髄腫になったなんて言っているのはあなただけなんですよ」と本人に言った。しかしその後厚生労働省は、放射線被ばくによって生じる疾病として「多発性骨髄腫」を規則に明記するに至っている。

①少なくとも労災保険をはじめとする行政処分に従って賠償することを東電に確約させること。
今後の国の対応についての検証作業においても重要な位置を占めることを鑑みて、1~6項について、明確に文書で回答すること。

以 上

(追加項目)

7 東京電力の緊急作業従事者の把握状況と緊急作業従事者の長期的健康管理

5月2日報告書によれば、東電は放射線業務従事者の指定・登録手続きをしていない人を緊急作業に従事させ、手続きは事後としている。5月2日報告書では、「解除にあたってはWBCの測定を行って従事期間における実効線量を確定して管理する」としているが、6月30日の東電報告によると、4月に新規に従事した従業員のうち1300人もの協力会社の従業員と連絡さえ取れない状況にある。東電がこれ以上いい加減な対応を続けることは許されない。
緊急作業従事者の長期的健康管理の在り方が検討会で審議されているが、このような状況はシステム以前の問題である。労働者の健康を保護し、また長期健康管理を行うために、下記の?、?を厳格に行う必要がある。厚労省は強く指導すべきである。

①作業ありきではなく、指定・登録手続き、十分な安全教育を行ってから作業に従事させるよう変更すること。

②解除に際して、WBC測定など長期健康管理に必要な措置を確実に行うこと。

③このことについて、検討会ではどのように報告されたのか。また、委員はどのような認識なのか。