[六ヶ所]六ヶ所燃料貯蔵プール漏水続報
六ヶ所再処理工場の燃料貯蔵プールで、6月8日漏えいが確認された。同日23時20分頃、巡視点検中の職員がバーナブルポイズン取扱いピットの漏えい検知装置で時間あたり約1.2リットル出水を確認した。この水の分析で、コバルト60(0.047Bq/cm3)、ホウ素(0.86ppm)、およびトリチウムが確認された。漏えい箇所の特定作業は、同ピットを隔離後水を抜き除染作業が終了した12日以降実施され、南西角の床コーナー部付近で貫通箇所1ヶ所が確認された。穴はピットに内張されたステンレス製のライナーを(約6ミリ)貫通しているが、ライナーの溶接部分ではない。原燃は今後社外機関で、漏えい箇所の原因調査を実施するという。
事故の発生により原燃は10日使用済み核燃料の搬入を当面見合わせる方針を公表したが、全体が一体となっているプールで漏えいが発生しているのであるから当然の措置だ。漏えい事故の再発にたいし、住民団体はウラン試験の中止を求め、六ヶ所村議会では日本原燃の品質保証体制に多くの疑問が投げ掛けられた(10日)。また六ケ所村の隣接自治体がつくる「原子燃料サイクル施設隣接市町村連絡協議会(三沢市・野辺地町・横浜町・東北町・東通村)」が、「施設の安全対策が不十分」とする抗議文を日本原燃に提出している(16日)。
2002年以降確認された大規模な不正溶接問題で、最終的に計291カ所で不良溶接が確認され大規模な補修工事実施された。問題のピットでも6ヶ所の補修が行われた。今回の漏えい箇所は溶接線そのものではないが、近傍だ。総点検作業で見落とした可能性はないのか?2004年1月に原子力安全・保安院が行ったプール全体の使用前検査の後は、漏えいはなかったとされている。一方同ピットではウラン試験が開始された2004年12月以降バーナブルポイズン切断装置の取替え工事が実施され、2005年6月2日に水張りが終了した状態だった。今回の漏えいは、この工事によって新たな貫通穴を生じさせた結果ではないのか?ウラン試験計画書によれば、同切断装置の試験はこれから実施される予定であり、なぜそれ以前に取替工事が実施されたのか等不明な点が多々ある。日本原燃にはなぜ溶接部分でないライナーに貫通孔が生じているのか、徹底的な原因究明と詳細な説明が求められている。この事故は、「総点検」によって整備された品質保証体制の真贋を問うものだ。
日本原燃(『品質保証体制点検結果報告書』)
www.jnfl.co.jp/quality/index3.html