女川原発で機器の設計限界を超える地震動!

8.16宮城県地震の際に,設計用限界地震の地震動を超える地震の揺れが起きていたことが岩盤中のデータの解析結果からわかった,と東北電力が9月2日に発表した.
www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2005/50902a1.htm

東北電力はプレスリリースで,2号炉の点検状況,原子炉建屋における地震観測記録,岩盤中で観測された地震波の波形,原子炉建屋の加速度応答スペクトル,岩盤における応答スペクトル,などを公表した.

その中で,女川原子力発電所工事用基準面の地下8.6メートルの位置(O.P.-8.6m)に設置された地震計の波形データをもとに,岩盤における応答スペクトルを解析している.O.P.-8.6mの位置を解放基盤表面とみたてて地震動の応答スペクトルを求めたところ,固有周期0.05秒付近一帯で設計用限界地震の地震動を超えていることがわかった.また,固有周期0.05秒付近で,岩盤中の観測記録の応答スペクトルがS1の応答スペクトルも超えていた.
(http://www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2005/50902a2.pdf )

O.P.-8.6mの岩盤中で観測された地震の加速度は,南北方向233Gal,東西方向221Gal,上下方向112Galが,それぞれ方向の成分の最大値であった.解放基盤相当の地震動は南北方向235Gal,東西方向284Galと解析された.解放基盤表面相当の地震動が設計用最強地震動S1を大きく超えていたことが明らかになった.
(9月13日追加:原子力安全委・耐震指針検討分科会配布資料
www.nsc.go.jp/senmon/shidai/taisinbun/taisinbun026/ssiryo1.pdf

各成分を合成した場合の時刻歴における最大値は明らかにされていない.

安全上重要な設備の固有周期はおおむね0.3秒以下であるから,ごく短周期の機器で固有周期が近いものがあれば,“共振”のような影響がおきる可能性もある.

原子力安全・保安院は東北電力に対して,安全上重要な設備の耐震性について詳細に評価すること,および,岩盤表面の応答スペクトルが限界地震の地震動の応答スペクトルを超えたことの要因を分析すること,を求める指示文書を出した.
(http://www.meti.go.jp/press/20050902001/20050902001.html )