チェルノブイリ事故、被曝による死亡4000人?
チェルノブイリ事故、被曝による死亡4000人?
『原子力資料情報室通信』376号短信
国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)などの国際機関やロシア、ウクライナ、ベラルーシ政府などで構成するチェルノブイリ・フォーラムは9月5日、放射線被曝による最終的な死者数は約4000人と推計する報告書「チェルノブイリの遺産:医学・環境・社会・経済的影響」を発表した。
これは、①事故直後から1987年に消火・除染作業などに従事した兵士や消防士ら約20万人(平均被曝線量100mSv)、②事故直後30キロ圏から避難した11万6000人(同10mSv)、③平方キロ当たり5キュリー以上の高汚染地域に住み続けた27万人(同50mSv)の約60万人、を対象にした限られた調査である。
これまでに明らかになっている死者として、原発職員や消防士の事故直後の急性障害の47人、甲状腺がんで死亡した子ども9人。これまでと今後の死者として、上記①では2200人、②130人、③1600人、合計約4000人と推計されている。
これはチェルノブイリ事故全体に対する評価ではない。事故処理作業者は、1988年以降を含めると60~80万人。また、がん死を問題にするのであれば、平方キロ当たり1キュリー以下の汚染地域も考慮すべきである。汚染地に居住する住民は500万~700万人、ヨーロッパ地域まで考慮するとさらに倍以上となる。