島根2号炉・高圧炉心スプレイスパージャ部品が炉心に落下(『通信』より)
島根2号炉・高圧炉心スプレイスパージャ部品が炉心に落下(『通信』より)
中国電力・島根2号炉(沸騰水型炉、82万キロワット)で3月13日までに高圧炉心スプレイスパージャのノズル部の部品であるデフレクタが原子炉内に落下しているのがわかった。当時、島根2号炉は定期検査中で、炉心シュラウドの応力腐食割れ対策として、「ウォータージェットピーニング」(WJP)という高速ジェット水流による応力緩和処理を溶接部に施すために、原子炉内の目視点検を行なっていた。
デフレクタは、緊急炉心冷却装置の1つである高圧炉心スプレイ系スパージャのノズルの先端についている長さ10センチ程の部品で、スプレイ系からの水を炉心にスプレイ状にまくためのじゃま板の役目を果たすことになっている。54個ある高圧炉心スプレイ系のデフレクタ付きスパージャノズルのデフレクタのうち、7個が脱落しているのがみつかった。上部格子板上に1個、上部格子板と炉心シュラウドの間に3個、炉心支持板と炉心シュラウドの間に3個あった。脱落したデフレクタは3月19日までに回収された。
また、スパージャノズルの廻り止め溶接が18個のノズルで外れており、うち1つでは約60度向きが変わっているのがみつかった。
中国電力は、5月9日までにデフレクタの脱落とノズルの溶接外れについて、状況と原因について公表した。それによれば、デフレクタが脱落した原因は、建設後の高圧炉心スプレイ系の試験時の流体振動によりデフレクタの取り付け溶接部にあった加工キズから亀裂が発生し、前回定期検査中に行なったWJP工事の振動によって亀裂が大きくなり破断したもの、と推定している。廻り止め溶接の外れについてもWJP工事の振動が原因であるとしている。
『原子力資料情報室通信』384号(2006.6.1)短信より
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