総合資源エネルギー調査会原子力小委員会第二回会合の議事進行についてのコメント

総合資源エネルギー調査会原子力小委員会第二回会合の議事進行についてのコメント

 

 2014年7月14日

NPO法人 原子力資料情報室

 

 当室は、原子力小委員会第二回会合における一部議事についてきわめて不当な取り扱いがなされたと考え、以下、コメントを発表する。

 

1.本委員会第二回会合において、審議の映像公開を否定されたことに抗議するとともに、審議の映像公開を再考されるよう強く求める。

 当室は、「丁寧な対話や情報共有のための取組強化」を実現するためには、審議過程の公開を含めた情報を開示することが最低限の要件であると考え、本委員会の映像公開を求めた。「原子力に対する不信・不安が高まっている」背景には、透明性・公開性、合意形成への参画が欠如していることが根本にあるからである。

 本委員会第二回会合では、当室共同代表の伴英幸委員から、本審議会の映像の公開を要求した。また、黒川清参考人からは、福島第一原発事故について最大の原因はガバナンスの問題であり、原子力の信頼回復には情報公開しか無いと、繰り返して強い指摘があった。

 本委員会第一回会合での事務局作成資料「第4次エネルギー基本計画及び今後の原子力政策の検討」のp.30には、【東電福島第一原発事故を踏まえた広聴・広報】として、現状を 「東電福島第一原発事故を受けて、国民の間に原子力に対する不信・不安が高まっているとともに、エネルギーに関わる行政・事業者に対する信頼が低下している」と分析した上で、「原子力立地地域のみならず、消費地も含め、多様なステークホルダーとの丁寧な対話や情報共有のための取組強化等により、きめ細やかな広聴・広報を行う」とあることから、動画の公開は当然の対応と言える。

 にもかかわらず、安井至委員長は、概略、委員の中に映像の公開を懸念する意見があること、委員からの意見が最も優先順位が高く、情報公開は二番目であるとの見解をもって、映像公開を否定された。

 本委員会事務局は会議の公開、およびすみやかに議事録を開示することで情報公開は達成されるとしているが、議事録で読み取ることが出来る情報量は少ない上に、一月に複数回ある会合の情報が1ヶ月後に公開されても、きちんと会議を追うことは不可能だ。さらに、映像が公開されることにより、委員自らが市民から見られているという意識をもつことは極めて重要である。また、第二回会合のように強権的な議事進行が行われた場合の一定の歯止めになることも期待できる。

 

2.本委員会第二回会合において、吉岡斉委員が希望した配布物について、審議と関係が無いとして、安井委員長および本委員会事務局が配布を拒否した件について抗議する。

 吉岡委員が配布を希望された資料は、「見解:川内原発再稼働を無期凍結すべきである」だ。再稼働の是非は本委員会の重要審議事項の一つであるところの「原子力依存度低減の達成」にかかわる重要な論点である。このような重要な資料であるにもかかわらず、審議とは関係が無いとして配布及び説明を拒絶し、吉岡委員が求めた発言を許さなかった。

 映像の公開については、映像が公開されることによる漠然とした委員の不安を前提として拒否しながら、有識者が配布を依頼した審議事項に直接関わる資料については配布を拒絶するようでは、今後の審議に大きく差し障りがある。

 次回会合では、今回拒否した吉岡委員配布要求資料を配布し、十分な意見交換の時間を持つよう強く求める。   

 

以上