六ヶ所再処理工場の稼働に関する青森県・岩手県アンケート調査結果
六ヶ所再処理工場の稼働に関する青森県・岩手県アンケート調査結果
―青森県では賛成と分からないが拮抗、岩手県では反対が大半を占める―
2021年4月18日
NPO法人原子力資料情報室
日本原燃(株)六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)は国や原子力事業者が進めてきた核燃料サイクル政策の中核施設で、2022年度竣工を目指しています。しかし、この工場をめぐっては、安全性、環境影響、経済性、核不拡散といった観点で、多くの問題が指摘されています。
そこで、NPO法人原子力資料情報室(東京都中野区、代表理事:伴英幸、西尾漠、山口幸夫)は、青森県・岩手県を対象に六ヶ所再処理工場の稼働にかんするアンケート調査を実施しました。
【調査概要】
〇 調査期間: 2020年9月1日~10月31日
〇 回答対象:
―青森県
• 青森県内の県議会・市町村議会議員、各種団体を対象にアンケート調査を実施
• 送付数:1166通、回答数209件
―岩手県
• 「豊かな三陸の海を守る会」の協力をえて、岩手県内の主に漁業、生協関係者を対象にアンケート調査を実施
• 送付数: 4000通、回答数547件
〇 実施:NPO法人原子力資料情報室
【結果のポイント】
〇 六ヶ所再処理工場の2021年度稼働という計画について
青森県では42%が賛成、20%が反対、38%は分からないと回答。
岩手県では4%が賛成、71%が反対、25%が分からないと回答。
〇 最大で、福島第一原発で貯蔵されている量の10倍のトリチウムを、毎年、海洋放出するという六ヶ所再処理工場の管理目標について
青森県・岩手県でともに、33%が良く知っている・ある程度知っている、67%があまり知らない・知らないと回答。
〇 政府・日本原燃はトリチウム放出に関する事実について詳しく説明すべきだったと思うかという質問について
青森県・岩手県でともに、90%以上がそう思う・ややそう思うと回答。
政府は詳しく説明すべきだったか?
日本原燃は詳しく説明すべきだったか?
〇 六ヶ所再処理工場からのトリチウムなどの放射性物質の海洋・大気中放出について、政府は福島の汚染水放出について開かれてきたような、審議会、公聴会などを開くべきか、という質問に
青森県、岩手県ともに、90%以上がそう思う・ややそう思うと回答。
〇 放出に関係者の合意が得られるまで、六ヶ所再処理工場の運転をすべきでないと思うか、という質問に
青森県では78%が、岩手県では96%がそう思う・ややそう思うと回答。
【調査結果考察】
これまで国は核燃料サイクル事業に関する国民理解の必要性を繰り返し述べてきました。また日本原燃は同社の事業について、「地域のご理解を前提」とするとしています。しかし、今回の調査結果から、六ヶ所再処理工場の稼働について、青森県でも十分な理解は得られておらず、隣接する岩手県は圧倒的に反対であることがわかりました。また、通常運転で放出する放射性物質については両県ともに知らない・あまり知らないとの回答が多数を占めていることも分かりました。
今回の調査結果から、六ヶ所再処理工場の稼働について、1993年に建設開始され、30年近くが経過しているにもかかわらず、理解が得られていないことがわかります。
通常運転で大量に放出される放射性物質については海洋で希釈されるとしていますが、国・日本原燃は早急に六ヶ所再処理工場の稼働に伴う放射性物質の環境放出に関する審議会・公聴会を開催するべきです。また、放出に関係者の合意が得られるまで、六ヶ所再処理工場の運転をすべきではありません。
【調査結果詳細】
以下の資料をご参照ください。
【調査結果報告会】
4月21日(水)15~16時で本調査結果のWeb報告会を開催いたします。
• 使用ツール : Zoom
以下のURLからお申込みください。折り返し当日URLをお送りいたします。
forms.gle/KRTYaF6C14skgzNJ6