『原子力資料情報室通信』407号(2008/5/1)短信
『原子力資料情報室通信』407号(2008/5/1)短信
※情報は執筆当時のものです。
■旧ソ連型原発建設計画に融資ストップを要請
4月15日、原子力資料情報室とグリーンピースジャパンを始めとする14団体は、みずほコーポレート銀行にスロバキアの原発建設計画に融資しないよう、要請の手紙を送った。同社は、スロヴェンスク電力に対する8億ユーロ(約1280億円)の共同融資に参加すると伝えられている。融資金額の85%は同電力の投資計画にしたがい、建設が中断されているモホフチェ原発3・4号炉の建設に利用されるとみられる。
同原発は1970年代の旧ソ連型(VVER-400)で、格納容器を備えず、国際的な安全基準を満たしていない。
スロヴェンスク電力の株式の大半を所有するイタリアのENEL社とスロバキア政府は、同原発建設に対して環境影響評価を行なわないことで合意した。共産党時代の1986年に出された建設許可が、その後20年以上も着工されずに放置されていたにもかかわらず、現在も有効であるとの認識に基づいている。
市民の適切な意見参加もないまま、通常行なわれる「越境環境影響評価(EIA)に関する国連欧州経済委員会条約」(ESPOO条約、EIA条約)による周辺諸国の意見聴取も行なっていない。
ヨーロッパ議会は、スロバキア政府が環境影響評価の実施を求めなかったことについて調査を始めた。また、スロバキア電力に融資を供与しようとしている共同事業体の主導銀行INGは、融資資金が同原発建設に使われることのないよう表明している。
■東通1号で作業員に放射性物質付着
東北電力は4月14日、定期検査中の東通原発1号炉で4日に起きた放射性物質付着事故に続き、11日に管理区域内で放射線測定を行なっていた協力会社の放射線管理員の右ひざ側面に放射性物質の付着を確認した、と発表した。
東北電力は、作業時にゴム手袋に付着した放射性物質が作業服に付き、作業服を脱ぐ時にひざに付着したと推定した。相次いだ同様のトラブルに対し同社は手洗いの徹底に加え、作業終了時には脱衣前に現場で検査を行なうなど、対策を強化するという。
■スペイン、アスコ原発で放射能漏えい発生
スペインの原子力安全評議会(CSN)は4月14日、アスコ原発(PWR、出力100万kW)1号炉で放射能漏れが発生し、周辺住民約800人の汚染検査が行なわれていることを伝えた。これまでに行なわれた579人の検査では、汚染は検出されていないという。
昨年10月行なわれた燃料棒取り替え時に問題が発生し、放射能漏えいは11月から発覚していたが、原発を所有するエンデサ社は4月4日までCSNに報告していなかった。漏えいは、5日のグリーンピースによる公表で明らかになった。
事故後も運転を継続していることに対し、グリーンピースは運転の停止を求めている。