調査レポート 日印原子力協力協定の問題点

原子力資料情報室は、本日、調査レポート「日印原子力協力協定の問題点」を公表いたしました。本調査レポートは、2016年11月11日に調印された日印原子力協力協定の問題点について取りまとめています。

 

 

本文

 

調査レポート 日印原子力協力協定の問題点(PDF、1.5M)

 

 

概要

  • 2016年11月11日、日印原子力協力協定が調印された。しかし調印された協定は極めて問題が多い。
  • インドは核拡散防止条約(NPT)、包括的核実験禁止条約(CTBT)に加盟せず核兵器を保有した国であり、今日も核軍拡を進めている。一方、日本は唯一の戦争被爆国として長年にわたり核兵器廃絶を国是としてきた。この協定の締結は事実上、日本がインドをあたかも「核兵器保有国」として認めることにつながり、日本が長年築いてきた核廃絶という外交的資産を放棄するものにほかならない。
  • 日印原子力協力協定では日本はインドに対し低濃縮ウランの製造と使用済み燃料の再処理を認めている。日本がNPT上の核兵器国以外に使用済み燃料の再処理を認めたのはこの協定が初めてである。NPT、CTBTに加盟せず、核軍縮義務も負わないインドに対して濃縮・再処理という特例措置を行なう時、それ以外の国がそうした特例を要望する時、どのようにして拒否するのか。
  • 日印原子力協力協定には協力の停止時に、協定の対象となる核物質や施設の返還条項が存在するが、協定内に核物質等の在庫目録を交換する条項が存在せず、協定対象核物質の把握が困難である。また輸出した施設や協定対象核物質は事実上回収困難である。
  • 日印原子力協力協定には協力停止時に損害賠償が可能である旨が記載されている。インドが核実験を行なうなどで、協力が停止された時、インドから巨額の損害賠償請求が行なわれるおそれがある。また、インドの原子力損害賠償法では、原発事故によって損害が発生し、原子力事業者が損害賠償を行なった場合、原子力事業者は原発メーカーに対して損害の求償が可能となっている。一旦事故が発生すれば、原発メーカーは巨額の損害賠償を請求されるおそれも存在する。
  • 数多くの問題が存在する日印原子力協力協定は批准するべきではない。

 


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