調査レポート「東海第二原発の再稼働は電力消費者に資するか ー東海第二の売電単価は卸電力市場価格や過去の原発発電コスト試算の2倍になる恐れもー」(第2版)

NPO法人原子力資料情報室は、2018年2月、日本原子力発電株式会社の東海第二原発の再稼働について、コスト面から再検討を行った「東海第二原発の再稼働は電力消費者に資するか ー東海第二の売電単価は卸電力市場価格や過去の原発発電コスト試算の2倍になる恐れもー」を発表いたしました。

この度、最新の情報を反映した改訂版を公表いたしました。結果、東海第二原発の売電単価は、前回試算時点よりも上昇、卸電力市場価格や、電力各社の売電単価よりも大幅に高くなることがわかりました。

詳細は下記をご覧ください。

タイトル 東海第二原発の再稼働は電力消費者に資するか
ー東海第二の売電単価は卸電力市場価格や過去の原発発電コスト試算の2倍になる恐れもー
概要
  • 日本原子力発電は所有する東海第二発電所の再稼働のために巨額の投資を行う必要があるが、この投資は電力消費者の利益にかなうか、おもにコスト面から検討した。
  • 日本原電の売り上げは9割以上が売電によるもので、純利益は東日本大震災以前の2001~2010年度平均で約15億円であった。東海第二原発は大震災以降、発電していないが、東海第二の電気を受電する東京電力と東北電力は日本原電に8年間で計4,537億円を支払ってきた。
  • 日本原電は東海第二原発の安全対策費を1,740億円、特定重大事故対処施設の費用を610億円と見積もるが、それぞれ2,500億円、1,000億円に増加していると報じられている。日本原電が大震災前の利益水準を回復しても、自社の経費削減等での投資回収は困難。
  • 大震災前の東海第二原発の売電価格は11.74円/kWh(2005~2010年度平均)だった。2023年に再稼働、追加安全対策費等を上乗せした場合の売電価格は15.9円/kWhになる。東海第二の再稼働まで東京電力と東北電力が日本原電に支払った料金を勘案すると、22.7円kWhとなる。
  • 2018年9月に、安全対策費と特定重大事故対処施設の費用合計を2,500億円、再稼動を2021年として見積もった際の売電価格は14.6円/kWh、再稼働までの維持費勘案で19.7円/kWhだった。対策費で1.3円/kWh、維持費勘案で2円/kWh上昇した。
  • 日本卸電力取引所のスポット市場の2018年度平均システムプライスは9.76円/kWh、固定価格買取制度による大規模太陽光の買取価格は12.57円/kWhとなるなど、軒並み東海第二の予想される売電価格を下回っている。
  • 東海第二の売電価格は市場価格や過去のコスト試算に比べ大幅に高くなる恐れがある。電力消費者の利益という観点から、東海第二の再稼働は再検討すべきだ。
本文 PDFダウンロード

原子力資料情報室通信とNuke Info Tokyo 原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けしています。