【共同声明】核のごみ処分場調査応募検討の白紙撤回を強く求める

経済産業大臣 梶山 弘志 様

寿都町長   片岡 春雄 様

 

核のごみ処分場調査応募検討の白紙撤回を強く求める

2020年8月18日

 北海道寿都町片岡春雄町長は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募するかどうかを来月中に判断することを明らかにした。また、これに呼応し梶山弘志経済産業大臣は歓迎の意を表し、複数の自治体から候補地への問い合わせがとあることを明らかにした。

 片岡町長の動きは、北海道の核のごみを持ち込むことを禁じた道条例(核抜き条例)を無視し、条例そのものを死文化させるものだ。道民の意志を無視するもので許されるものではない。さらに、今回の動きは、他の自治体で候補地として名乗りをあげやすくさせるための露払いの役割を果たすものとなる。経産大臣の発言をみれば、今後各地に広がることが懸念される。

 国・原子力事業者は現在、六ヶ所再処理工場の竣工・稼働に向けて原子力規制委員会からの「合格」を受け、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の製造へのはずみをつけようとしている。同時に最終処分場の建設もめどをつけるために核のごみ処分場調査の動きを活発化させようとすることが今回の背景にある。これ以上核のごみを増やさないためには原子力発電所を全廃することが必要だと、私たちは考える。原子力政策(特に核燃料サイクル政策)の破綻があるなかで、国民的議論と合意もないままなし崩し的に最終処分場の候補地の選定を進めることは問題の解決とならない。

 今回の応募は、片岡町長が「将来の厳しい財政状況を考えると応募は選択肢の一つ」と明言しているように交付金目当てのものだ。最終処分の問題は、技術的な問題とともに、第一段階の文献調査で10億円(最大20億円)。その後の経済効果が150億円などとバラ色の夢を振りまき、「金」で候補地を釣りあげようとすることにも大きな問題がある。目先の「金」で、自治体財政を補填しようとすることは、将来に大きな禍根を残すことになる。地元経済が原子力施設に依存し、1次産業の衰退を招くことになる。その意味から、これまで原発立地自治体が栄えた例はない。むしろ財政破たんに追い込まれている自治体もある。

 片岡町長は「地元以外からの反対に耳を貸すつもりはない」とし、この問題が一自治体の問題でないことを故意に無視している。北海道庁も道条例を踏まえ「道内に処分場を受け入れる意思がないとの考えに立つ」と表明しており、片岡町長や経済産業省は、それらの経緯を無視し、核のごみを北海道に満ち込むことは許されない。

 私たちは今回の応募検討に対して強く抗議し、以下の要請をする。

 

1.片岡町長は、応募検討の白紙撤回をすること。

2.経済産業省は、強引な候補地選定を中止すること。

 

 

呼びかけ:

・原水爆禁止日本国民会議 東京都千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1F

・原子力資料情報室 東京都中野区中央2-48-4小倉ビル1F