玄海3号炉のプルサーマル導入に抗議する

玄海3号炉のプルサーマル導入に抗議する

 九州電力の発表によれば、16体のプルサーマル燃料を入れた原子炉の起動を行なった。報道によれば午前11時に起動が始まった。1999年から実施する予定だったプルサーマル計画は、住民の反対、燃料の品質保証の偽造やトラブル隠しなどによって、頓挫した状況が続いていた。
 プルサーマル燃料の品質保証問題は形を変えて現在に至っているといえる。関西電力はフランスメロックス工場で製造したMOXペレットの品質が自主基準をクリアしないものが出たとして輸入燃料体数を減らす手続きを行なった。必ずしも詳細は公表されていないが、九州電力のMOXペレットはどうか? 自主基準に適合とはいうが確かめられていない。
 プルサーマルを進めることで、原子炉の安全余裕は減り、事故の危険が増す。地震の多発時代にあっては、大事故に至る恐れは無視できない。
 また、使用済みプルサーマル燃料の取り扱いも明確でない。2010年ごろから検討を開始するはずだったが、六ヶ所再処理工場の運転延期により、この「処理の方策」の検討は延期のようである。使用済みプルサーマル燃料は放射能の減衰が遅く取り扱いがいっそう厄介である。また、再処理の技術の面でも厄介である。この問題を放置したままプルサーマルに入っていくことは「トイレの無いマンション」状態をいっそう悪化させるといわざるを得ない。
 そもそも、資源の有効利用につながらず、高速増殖炉開発の展望も見えないか中で、核拡散につながる恐れの高い再処理技術を維持し続ける意味はまったく無い。その上、経済性の面でも消費者に負担を強いるものである。
 プルサーマルの導入に抗議するとともに、これ以上の拡大を進めるべきではない。政府は必要性もないプルサーマルを電力各社に押し付けるのではなく、核燃料サイクル政策の転換を進めるべきである。

原子力資料情報室