原子力資料情報室声明 高レベル放射性廃棄物の最終処分にかんする自治体向け説明会の非公開問題について
特定非営利活動法人原子力資料情報室は、国が高レベル放射性廃棄物の最終処分にかんする自治体向け説明会を非公開で実施していることを受け、以下の声明を発表しました。
高レベル放射性廃棄物の最終処分にかんする自治体向け説明会の非公開問題について
2015年6月3日
原子力資料情報室
「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」が改定された。5月22日のことで最終処分関係閣僚会議の第3回会合で決定された。
政府はこの改定を踏まえた当面の取り組みとして3点を掲げている。
① 国民的理解活動の第一弾として全国9都市でのシンポジウムを開催する
② 「全国の自治体への情報提供を緊密に行うため、総務省の協力を得て、各地域毎に、経済産業省と自治体の連絡会(説明会)を速やかに開催する(6月中を目途)
③ 使用済み燃料の中間貯蔵のための「国や事業者による具体策を盛り込んだ『アクションプラン』を策定する」
このうち、シンポジウムの開催は5月23日(東京会場)から始まった[i]。問題は②の自治体向け説明会である。報道によればこの一連の説明会は非公開で行われている。入手した情報によれば、「最終処分に関する政府方針の全国的な理解活動を進める観点から」開催されるこの説明会は、5月25日から7月1日まで全国39都道府県で42回開催されるという。
しかし、現在進められている経産省の審議会の放射性廃棄物ワーキンググループでは、福島原発事故で失われた原子力政策への信頼の回復、および、政府の活動の公正性・透明性の重要性が政策展開の根幹にかかわる問題として当初から認識されてきたのである。
にもかかわらず、非公開で自治体向け説明会を開催することは、その根幹に反している。処分地選定にかんして不信感をうむことは必至である。この説明会が政府からの実質的な申し入れ活動になるのではないかという不信感である。かつて、2011年春ごろに複数の地点に政府が文献調査の申し入れを行う計画だったことは報道で伝わっているからである。
政府が説明会を非公開にする理由は全くない。今からでも遅くはない。政府は非公開姿勢を公開姿勢へと改めるべきだ。
さもないと、処分地の段階的選定過程における手続きは理解されないだろうし、政府が考える「対話の場」の設置も出来なくなるだろう。形式だけの広聴は役に立たない。住民・市民の根強い不信感を政府はしっかりと知るべきである。