[セラフィールド]ソープ再処理工場・BNFLの『調査報告書』公開
[セラフィールド]ソープ再処理工場・BNFLの『調査報告書』公開
漏えい現場の写真
www.bellona.no/en/energy/renewable/38990.html
BNG報告書など
www.jca.apc.org/mihama/uk_france/uk_france_room.htm
◆イギリス、ソープ再処理工場の計量セル漏えい事故について、工場の運転者であるBNFL自身が行った調査の「調査報告書」が公表された。これは既に5月26日にBNFL(イギリス核燃料公社)がNII(原子力施設検査局)とNDA(原子力廃止措置機関=ソープ工場の所有者)に提出していたもので、一部の情報がマスキングされ公開された。
◆今まで公表されなかった「計量タンク」の外観図も開示された(下記参照)
◆漏えいは昨年8月から、配管は1月に破断
THORP再処理工場の漏えい事故(4/18)についてBNFLの5月26日の報告では、
1)計量槽(タンク)は吊下げられた構造(可動式)で、その上部に切断した配管が接続されている。配管は一方が固定されているため、繰り返して負荷(ストレス)がかかり、金属疲労によって破断したと推定。
2)少なくとも昨年8月から漏えいが起きていたことを示す証拠がある(亀裂が発生したと考えられる)。
3)そして今年の1月半ばから漏えい量が増しており、このとき配管が破断した。
4)1月中旬から4月19日の事故の公表までに、計量タンクセル内のサンプリング(試料検査)や放射能測定の機会が何度もあったが、作業員は漏えいを確認できなかった。
5)漏えいした使用済み燃料硝酸溶液の回収作業が開始され、回収を終了するまで約4週を予定。溶液はセルの床からポンプで汲み上げ、工程中のタンク(中間貯槽)に戻される。
◆事故の原因等については、NII(原子力施設検査局)が引き続き調査を行っていて、その報告は今年末になる。施設(配管)の設計ミスや漏えいを長期間放置した人為ミスなど、多くの問題点がすでに指摘されている。
◆今回の漏えい事故発生の直前、THORP工場を含む英国の原子力事業全体について、大規模な組織的変更が行われている。というのも英国では新たな原発の計画もなく稼働中の原発も運転終了の時期が迫り、原子力産業の主要課題は原発の廃炉や廃棄物管理事業に移っている。政府による原子力事業の見直し作業の結果、いままでBNFL(英国核燃料公社)やUKAEA(英原子力公社)が所有・運転してきた原発やTHORPなどの債務が膨大になることが判明した。
◆そこで政府はこれらの負債を整理するため今年2005年4月NDA(原子力廃止措置機関)を設立し、これらの負債と施設を全面的に移管した。具体的にはマグノックス原発、THORP再処理工場、MOX加工工場(SMP)、廃棄物工場、などの資産と施設の廃止にかかる費用、廃棄物管理に関する費用などの債務が移管された。
◆今後政府主導による廃炉事業や除染計画(クリーンナップ)が進められるわけだが、そのための費用にはTHORP再処理工場やMOX加工工場(SMP)からの収益が見込まれていた。一方BNFLなどは、「負債と資産をもたない身軽な企業」として今後の営業を活発化させるためBNG(英国原子力グループ)を作り、THORP工場や原発運転業務を請け負っている。
◆漏えい事故発見直前の4月5日、ソープはBNFLからNDAに譲渡されたばかりだった。NDAは今年度の経費全体を約22億ポンドとし、ソープからは約5億6000万ポンドの収益があると見込んでいた。しかし漏えい事故によって収益減は少なくても約3億ポンド、事故対策には数百万ポンドが見込まれている。ソープはNDAの負債に転落する可能性が高い。今後のTHORPの行方を決定するのは、英国政府の責任である。
◆概要は、https://cnic.jp/154 参照。
◆BNGグループのリリース
www.britishnucleargroup.com/index.aspx?page=318
◆『Board of Inquiry Report』「調査報告書」(BNFL)
www.bnfl.co.uk/library/upload/docs/005/2765_1.PDF(Internet Archiveで保存されたファイル)