BNFL社:3分の1が不良ガラス固化体 ―地下処分も国外輸送もできない

英国セラフィールドにあるBNFL社の高レベル廃液ガラス固化体製造工場で作られたガラス固化体のうちの3分の1が地下処分や国外への輸送に適さない不良品であることがわかった,と9月15日付けのホワイトヘブン紙が伝えている.
www.whitehaven-news.co.uk/news/viewarticle.aspx?id=282142
「Nuclear waste ‘not fit to dump or send overseas’」
By David Siddall

これはホワイトヘブン紙が入手したBNFL社の内部資料によって明らかになったものである.

また,10月3日にはインデペンデント紙が同様の内容の記事を掲載している.
news.independent.co.uk/uk/environment/article316607.ece
「Secret report reveals catalogue of blunders at Sellafield 」
By Geoffrey Lean, Environment Editor

固化体の本数など不明な点もあるが,以下に,おもにホワイトヘブン紙の記事から,その内容をかいつまんで紹介する.

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2002年1月までに519体のガラス固化体が国外の顧客(電力会社)向けに製造された.

266体のうちの254体の固化体については書類上の食い違いがある.監査した171体のうち52体は製品の仕様を満たしていない.BNFL社は,これらの問題は「過去のもの」であり,「10の改善計画を適用した固化工場における2000年代前半の一時期の困難な時期は終わった」と主張している.

内部資料によると,ガラス固化の過程でガラスに溶け込まない塊が生じていることもわかった.「われわれの工場は,ガラスに溶け込まない塊が発生するのを抑えるように運転されている.したがって,深地層での長期間の貯蔵には問題がない」とBNFL社がホワイトヘブン紙に答えている.

また内部資料は,固化体製造工場から放射性のルテニウムガスが漏洩しシースケール村一帯に汚染が広まった1997年の事故について,原因調査が終結していないことも明らかにした(ルテニウム106:半減期1.025年のベータ放射体).BNFL社は,固化工場内で起きたルテニウムガスがフィルターを透過して漏洩した事故について,対策の研究に多額の資金を投じてきた.

現存の高レベル廃液貯蔵容器(サイロ)の潜在的な安全上の問題のため,NIIは固化すべき廃液の量の目標値をBNFLに示した.それによると,BNFLは今年中に525体,来年は560体のガラス固化体を製造しなければならないことになっている.この目標が達成できなければ,NIIがTHORPでの再処理を停止させることができる.

固化体製造工場では,3つある製造ラインのうち1つしか稼働していない.

実際にガラスに充てんしたより多い量の放射能の廃液を固化工場内で取り扱っていたことを示す記録があるのはなぜなのかをBNFL社はロイズ・レジスターに説明する義務があることを内部資料は示している.

サイロに満タンになっている高レベル放射性廃液を固化工場で安全にガラス固化できなければ,すべての再処理はNIIの命令によって停止される,という事態にBNFL社は追い込まれている.