第4回総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題WG(1994)議事概要

第4回総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題WG(1994)議事概要

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※出席者名は生田豊朗・池亀亮・石渡鷹雄・太田宏次・鈴木篤之・鷲見禎彦・武田修三郎・野澤清志・真野温・南賢兒・南直哉・村田浩・森一久・木阪崇司・森口泰孝・並木徹・藤島安之・松井英夫・稲葉裕俊・藤冨正晴

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第4回総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題WG
議事概要

平成6年2月17日
原子力産業課

1.日時:平成6年2月4日(金)14:00~16:00

2.場所:通産省 資源エネルギー庁第一会議室

3.出席者:委員:生田(主査、エネ研)、池亀(東電)、石渡(動燃)、太田(中電)、鈴木(東大)、鷲見(関電)、武田(東海大)、野澤(原燃)、真野(原燃工)、南(関電)、南(東電)、村田(原文振)、森(原産会議)、
STA:木阪(動開課長)、森口(核燃課長)
事務局:並木(審議官)、藤島(総務課長)、松井(原産課長)、稲葉(原電課長)、藤富(原管課長)、他

4.議事内容
(1)配布資料確認及び事前説明(資料1)

(2)資料2~資料5について、松井原産課長より説明

(3)資料2「ウラン需給見通し」、資料3「軽水炉使用済燃料発生量見通し」、資料4「核燃料サイクルの経済性試算について」の議論
鈴木)<1>資料4参考2について、加重平均はどういった前提の基に試算されたか。<2>再処理リサイクルを行うことによりウラン節約量をどの程度見込んでいるのか。
事務局)<1>について、2030年9200万kWという設備容量のマクロフレームを設定し、そこで発生したSFについて、六ヶ所再処理工場で再処理を行い、同プラントを上回る分は、国際的な価格で海外再処理するものと考え、各々のコストを処理量で加重平均した。<2>について、試算の仕方はOECDとは違って、SFを再処理して生じる約0.6%のPuを濃縮度約4%のMOX燃料に加工して装荷する。これを燃焼した後、再びSFを再処理し、Puを抽出する。これを何回も繰り返すという設定で計算している。
鈴木)再処理リサイクルによるウラン節約量は、資源論的な観点を重視して、炉心装荷量で評価すべきでないか。
太田)資料4P1で「核燃料サイクルの経済性について積極的に公開し、」とあるが、全体としてならともかく、個々のサイクル施設の試算まで積極的に公開することはいかがなものか。また、資料2について、2030年のウランの需給を楽観視していないか。この資料では、2030年頃にFBR商業炉を開発する必要性について説得力のある説明ができない。
松井)本資料は、客観的にウラン需給を評価した結果でありこのようなウラン需給見通しの基でFBR開発をどのように説明するかについて問題提起しているところ。このデータを根拠にFBRを不必要というつもりはない。また、経済性の公開について、詳細な計算はさておき発電原価ぐらいは出さなければならないと思う。いずれにしても、詳細な数値については、電事連と協議するつもりでいる。
南(賢))資料4の再処理について、為替レートが変れば海外再処理の単価が変化すると考えてよいか。
松井)おっしゃる通りである。ちなみに、1$=124円は、昨年度の平均レートである。
池亀)経済性を論じるに当たって、為替レートの変動は大きな要因であるが、評価が難しい。また、現在だけではなく将来的な経済性も評価する必要があり、本資料がこの点をしっかり評価しているか疑問である。また、直接処分コストは、処分場の立地状況、それに係る許認可等の事情で大きく左右されると思われるが、どのように試算したのか。
事務局)直接処分コストの試算は、OECDがスウェーデンの例を用いて試算を行っているが、かなり幅がある。今回の試算については、最も割高な数字を用いている。また、直接処分の実績を持つ国がない以上、許認可等の影響に係る事情は、OECD試算でも同様と考える。
武田)ウラン需給の試算について、この資料では、OECDの試算を用いているが、米国の科学アカデミィー【ママ】の試算では、もう少し余裕のある結果が出ている。他のレポートについても検討して頂きたい。コスト試算について、公開するかどうかは別にしても電力内で計算してほしい。また、データの事実に基づいて政策を柔軟にしてもいいのではないか。
真野)為替レートの影響について、他のエネルギーの影響度合いとの比較も考えて評価すべき。また、経済性は、ファイナルコストのみを見て議論するのでなく、電気料金全体のバランスを考えて論じる必要がある。この際、事業者がもっている資金をどのように使うのかという問題が別途あり、そこは、経営判断に委ねられている。
松井)結局、輸入エネルギーと国産エネルギーとの比較に帰着し、レートの影響で経済性が成立しなくなるとセキュリティー論がクローズアップされてくるのだと思う。これらの諸要素をすべてこの資料中で評価するのは難しい。
太田)電力は、公益事業であり、核燃料サイクルコストについても試算を公開すべきだという意見には同感しているが、例えば再処理コストの場合、今まで発表されている発電所コストのように全発電所の平均値を公表するのと違い下北の工場のコストということになってしまう。もし、本当に発表され、それが非常に割高である場合サイクル事業が成り立たなくなるような数字が出てくる可能性がある。
池亀)経済性というのは、LNGの例にもあるように現時点の価格だけでなく将来どうなるかが問題である。また、輸送、用地、規制等でやむを得ず高くなる要因もあり、現時点での数字だけを比べるのはよくない。
石渡)長計では、2030年がFBR実用化を目指すとの方向で議論を進めているところでもあり、この報告書の公表の仕方には配慮願いたい。また、日本では直接処分について議論されたことはなく話が混乱してしまうのでこの点についても配慮願いたい。
森口)STAにおいてもコスト試算はしているが、直接処分については、データがないことからかなり幅が広くなる。また、OECDの資料についてもかなり幅があるものであり、資料の作り方次第では、意図的にも作れる。したがって、我々は、このような資料を作る場合でもかなり慎重にしている。
主査)経済性については大変難しい問題ではあるが、現時点での経済性を論じるよりも、超長期の展望を踏まえた上で核燃料サイクルの確立を図るべきである。これを実現するに当たり、必要なことを現在から取り組んでいくという議論とすべき。

(4)資料5「核燃料サイクル事業の進め方に関するポイント」についての議論
村田)日本では、直接処分という選択肢はなく、また、立地事情等日本の特殊性を考えるとOECDや米国の計算は適用できない。
 日本のリサイクル政策を進めるに当たってのアイデンティティーをはっきりすべき。
南(直))多少コストがあがるかもしれないが、核拡散抵抗性を高めた方がいい。また、電気料金が若干高くなろうと長期的判断から経営資金を割いても再処理事業に投入していくいく【ママ】必要がある。
鈴木)SFについて、長期的にみてこれをどうするかを国際的にも議論されるべき。再処理は、SFの管理の一環としてやっているということの方が分かり易いと思う。アクチナイドリサイクルも廃棄物の処分をし易くするためにやるとした方がいい。
 全体に、まだ現状に引きずられて思い切った議論ができずに主旨が曖昧になっている気がする。
森)SFの中に含まれているPuをプルサーマルをしてどれくらい燃やせるのかの計算もした方がいい。また、ワンススルーについても、もう少し突っ込んで議論してもいいのでは。
武田)再処理事業の商業化を図るのであれば、コスト評価は非常に重要。割高であればコスト低減に努め、なおかつ割高であれば計画の放棄もやむを得ない。政策決定とは路線の選択であり、選択肢としてワンススルーを考えないのは奇妙。また、国際的なエネルギー安定化を図る上で日本が原子力を増やすとした方が分かりやすい。将来、各国は孤立するのではなく協力し合う時代がくると思うので、エネルギーを国産にする必用【ママ】はない。
池亀)円レート等を鑑みると、今までのようにすべてを国産化することは適切ではないとの考え方には同感。また、短期的にはP2の(経済性の重要性)にあるように投資の妥当性は重要。
野澤)六ヶ所再処理工場での再処理に係るコスト試算については、今少し時間を頂きたい。

(5)資料5「FBR実証炉に関する議論の整理(案)」について、松井原産課長より説明及びこれについての審議
木阪)P4にある協議機関の必要性については、我々も認識している。
 「2000年頃までに」とあるが、2000年までに結論を下すのは、現実的には難しいと考えており、また、日々チェックしていくことが重要であるため時期を明確に記載すべきでない。見方を変えれば、2000年頃まで何も決まらない可能性もある。また、2020~2030年頃におけるFBRの技術体系の確立に向けての明確なステップが必要であるとともに、動燃と事業者の協同作業体制を明確に打ち出すことが重要。
池亀)P3「実証炉の開発を国際的に開かれたものとする…」とあるが、いろいろ関連する問題があるので、実施主体である原電と検討する必要がある。また、協議機関については、実証炉1号だけでなく、核拡散抵抗性に優れた技術やFBRの経済性について検討する必要がある。
武田)協議機関については、中立でありC&Rの効果があるようなものでないと、世界情勢が変化した場合に対応できる政策を決定できない。また、FBRが環境にいいかどうかや核拡散抵抗性があるかどうかの議論も必要。
太田)諸外国の参加については、具体的な参加方法等を検討した上で書く必要がある。2030年頃の実用化をねらったものを作る場合、軽水炉に勝るものを目標にすべき。
森口)資料5について、ディスカッションペーパーであり今までの議論を踏まえたものでないと認識している。次回もこのペーパーをこのまま利用して議論される旨確認したい。
松井)基本的には、これを出して議論する。
鷲見)協議機関について、2000年頃までには検討するが、それ以降は、検討しないように読めるが。
 また、P4「具体的建設スケジュール等を検討する」とあるが、具体的建設スケジュールは、実施主体の原電が決めるべきであり、建設スケジュールだけでいいのではないか。
松井)2000年頃に現在の漠然としたものを具体的にするというものであり、当事者が行う詳細なスケジュールまで決めるつもりはない。

次回:2月16日(水)15:00~17:00
資源エネルギー庁第1会議室