泊原発の運転差し止め判決に対するコメント「北海道電力に原発を運転する資格なし、判決を受け入れた上で原発を廃止せよ」

2022年6月1日

NPO法人 原子力資料情報室

 

 札幌地裁(谷口哲也裁判長)は5月31日に泊原発の運転を差し止める判決を下した。判決理由は泊原発の防潮堤が機能せず、運転によって、重大事故時に周辺住民の人格権を侵害する恐れがある、というものである。

 住民らの提訴から10年が経過し、北海道電力の新規制基準への適合申請から約8年が経過している。にもかかわらず、被告北海道電力が安全性の立証を終える時期の見通しが立たない状況であり、審査会合によって変更される被告の主張に住民側が延々と対応することを余儀なくされることになる。このような状況から、審理の継続を正当化することは困難だとして判決を下した。

 原子力規制委員会での審査が続いているとしても、被告北海道電力が法廷で主張を尽くさなかったことは、同社の能力の欠如を明示するもので、原発を運転する資格がないといえる。原子力資料情報室は、北海道電力に対し、判決を受け入れた上で泊原発を廃止することを求める。

 なお、住民側は使用済燃料の撤去ならびに廃炉を求めたが、撤去先が特定されていない、廃炉までは必要ないなどの理由で退けられた。また、原告は1200人を超えていたが、半径30km内の44人にされた。こうした点があるにせよ、運転差し止めの判決は福島原発事故後で大飯、東海第二に続く3例目であり、歓迎する。

 

以上