「もんじゅ」は廃止するべきである
「もんじゅ」は廃止するべきである
2014年10月16日
NPO法人 原子力資料情報室
独立行政法人日本原子力研究開発機構(機構)は、昨年5月、原子力規制委員会より「もんじゅ」の運転停止命令および組織の改善命令を受けた。これは2012年11月、「もんじゅ」の保守管理上の不備が多数発覚したことを発端にして、機構という組織全体の安全軽視の姿勢が明らかになったことによるものだ。
機構の組織改革は、体制の改革、風土の改革、人の改革の3つを基本方針として行われている。体制の改革として組織再編が行われ、「もんじゅ」は理事長直轄の組織となった。また、人が管理していた設備点検計画を、今後はコンピュータシステム上で管理することに変更し、これまで紙で保管していた点検記録もデータベース化する。風土の改革としては、小集団活動による討論や改善活動を導入。人の改革としては、「もんじゅ」の政策上の位置づけに関する勉強会や、シニアから若手への技術伝承を図る講演会を実施したという。
機構は今月2日、保守管理の方法や体制などに課題が残っているとして、9月末までとしていた「もんじゅ集中改革期間」を来年3月末まで延期することを発表した。直後の12日には、2次系ナトリウムを監視するカメラのうち、1/3が故障していることが明らかとなった。これは95年のナトリウム漏れ事故をきっかけとして設置されたもので、長いものでは1年半もの間、故障が放置されていたという。
体質に問題があるのは機構だけではない。監督官庁である文部科学省は、機構の業務評価における安全確保の徹底という項目で、順調であることを示す「A」の評価をし続けてきた。多数の点検漏れがあった2011年の評価も「A」であり、文科省は実際と正反対の甘い評価をおこないつづけてきた(2013.5.18 東京新聞)。
何故このように安全を軽視する組織となったのか、機構はその原因を深く掘り下げて分析しなければならない。小手先の組織再編などでは、組織に根付いた風土は変わらない。
機構が1月に職員に実施したアンケート調査で、「もんじゅプロジェクトを進める自信があるか」との問いに多くの職員が自信を持っていないことが示された。「もんじゅ」の意義がいまやすっかり失われているにもかかわらず、なお運転を再開しようとしていることにこそ、根本原因があると考えられる。
安倍政権下で策定されたエネルギー基本計画でさえ、原子力発電を「可能な限り低減させる」としている状況下で、原発の燃料としてプルトニウムを増殖する必要はまったくなく、高速増殖炉の意義はそもそも失われている。そのことを糊塗する廃棄物の毒性低減・減容化研究への目的ずらしは、現実的な有効性もなく、「もんじゅ」を延命してさらに無駄遣いをするだけだ。軽水炉発電以上に危険性が大きく、核拡散の懸念をこそ増殖する「もんじゅ」は、直ちに廃止するべきである。
12月6日(土)には、福井県敦賀市で「もんじゅを廃炉へ!全国集会」が行われます。ぜひご参加をと呼びかけます。
【‘14もんじゅを廃炉へ!全国集会】
11時 現地集会と申し入れ 於:白木海岸 (9時40分JR敦賀駅発-白木海岸行 貸し切りバスあり)
13時 もんじゅ廃炉を求める全国集会 於:プラザ萬象 (敦賀市東洋町1-1)