【声明】北朝鮮の核実験に強く抗議する
【声明】北朝鮮の核実験に強く抗議する
2017年9月5日
NPO法人 原子力資料情報室
9月3日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州郡(キルジュグン)豊渓里(プンゲリ)付近で6回目の核実験を強行した。地震波の観測から爆発の規模はマグニチュード6.1と推定され、前回(2016年9月9日)の約10倍とみられる。北朝鮮は、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に完全に成功した」と発表した。
この暴挙は人類の名において、絶対に許されない。核放棄と核実験の禁止を強く求めてきた国際社会に真っ向から反している。
米国や日本はこの核実験を受けて、さらに厳しい制裁措置に踏み切るとみられる。米朝の軍事衝突も強く懸念されるが、最悪の事態は何としても回避しなければならない。日本政府は、核の抑止力や武力による安全保障政策ではなく、外交的手段による非核化に向けて努力を傾注すべきである。
今年7月7日、戦後72年にして初めて、核兵器禁止条約が国連で採択された。ヒロシマ・ナガサキの悲劇を二度と繰り返してはならぬ、という諸国の固い決意が結実したのである。「核兵器のない世界」をめざし、核兵器の使用、開発、実験、生産、製造、保有の一切を禁止した。国連に加盟する193ヵ国中、122ヵ国が賛成した。
しかしながら、核保有国と北朝鮮などの実質的核保有国、米国の「核の傘」に入る日本などの同盟国は条約に参加しなかった。日本は採択を欠席した。この条約をどのように世界の核軍縮につなげるかが今後の大きな課題だ。
戦争による唯一の被爆国の日本は、これから核廃絶にどう向き合っていこうとしているのか、姿勢がきびしく問われている。
北朝鮮の核実験は、広島・長崎以来の、核廃絶への願望に反するものである。私たちは「核兵器」と「原子力発電」とは表裏一体であると考える。いっさいの核兵器と核利用を拒否しなければ、恒久的な平和は実現できない。人類と核とは共存できないことを、あらためて認識しなければならない。
原子力資料情報室は、北朝鮮の核実験に抗議するとともに、北朝鮮政府に対して直ちに核兵器開発を放棄するよう強く求める。