【原子力資料情報室声明】「ふげん」の使用済核燃料は再処理せずに、貯蔵を継続し、直接処分の方向に -無責任な先送り政策を止め、全量再処理政策の転換を-
【原子力資料情報室声明】「ふげん」の使用済核燃料は再処理せずに、貯蔵を継続し、直接処分の方向に -無責任な先送り政策を止め、全量再処理政策の転換を-
2018年11月6日
NPO法人 原子力資料情報室
2003年3月29日に運転を停止した新型転換原型炉「ふげん」は、08年2月19日に廃止措置の旧原子力安全・保安院から許可を得て、廃炉作業が進められてきた。
日本原子力研究開発機構は18年2月26日に西川一誠福井県知事ならびに淵上隆信敦賀市長らと面談し、17年度末までに貯蔵中の使用済燃料を県外に搬出するとしていた計画を9年間先送りする変更を説明した。その上で、18年度上期に搬出の具体的な計画を明示するとした。機構はこれを受けて3月に変更申請を行い、4月25日に原子力規制委員会の許可を得た。
10月27日の福井新聞によれば、機構はフランスのオラノ社(旧アレバ社)と「ふげん」の使用済燃料を搬出する準備のための契約を結んだ。23年度に搬出を開始し26年夏ごろまでに466体の燃料を搬出する。文科省は19年度の概算要求に輸送容器の製造など準備費として60億円を盛り込んでいる。
機構は「ふげん」の使用済燃料について、「国内または我が国と原子力の平和利用に関する協力のための協定を締結している国の再処理事業者において全量最再処理を行う」として文部科学省から許可を得ていることから、オラノ社によって再処理されることが想定される。この場合には東海再処理施設にも保管されている「ふげん」の使用済燃料265体も再処理の対象となるだろう。そればかりか、全量再処理に固執していれば「もんじゅ」の使用済燃料もフランスで再処理せざるを得なくなるだろう。
今後、再処理に関する契約締結も不可避であろう。そうなれば、将来にプルトニウム、回収ウラン、高レベルおよび低レベルの放射性廃棄物が返還されることになる。これらの使用または処理・処分に関する計画は提示されていない。これらはまた、膨大な国民負担を強いるものである。
「もんじゅ」の廃炉が示すように核燃料サイクル政策は破綻しているのである。全量再処理政策に無責任にしがみつき、その場逃れの対応を繰り返すべきではない。
「ふげん」の使用済燃料は再処理することなく、国内に貯蔵施設を作り、直接処分の研究をすすめるべきである。「もんじゅ」の使用済燃料も同様である。
以上