被曝労働者救済に向けた第3回政府交渉[2011/3/8]
被曝労働者救済に向けた第3回政府交渉
■3月8日(火)午後2時~
■衆議院第2議員会館第3会議室
※政府交渉に参加を希望の方は大至急、原子力資料情報室まで氏名、所属をお知らせください。
email. TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801
昨年11月26日に行なった第2回交渉は、厚生労働省の不誠実な対応により何の成果も得られない結果に終ってしまった。この残念な結果を踏まえ、以下のような「申し入れ・追加質問書」を提出した。
第3回交渉は、放射線被曝をともなう労働災害の対象疾病例示の拡大の問題に焦点を絞った。
多発性骨髄腫と悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫に限る)労災認定の対象疾病として労働基準法施行規則第35条の別表1の2の「第七号10」に加えられたのは、長尾光明さんの多発性骨髄腫の労災認定(2004年1月)から6年以上の年月が経過してからだ。悪性リンパ腫で死亡した喜友名正さんの遺族による申請は、労働基準局の例示疾患ではないとの判断で不支給決定されてしまった。その後、支給決定されるまでの道のりは本当に困難だった。例示疾患リストの抜本的な拡大が早急な課題として求められている。
原爆症認定基準では、すべてのがんが認められている。このことが医学的見地から、労災認定基準拡大の大きな根拠のひとつとなる。
第3回交渉では、これまでこの件について何の発言もなかった厚労省に、労災認定と原爆症認定の基準が異なることについて、きちんとした説明をさせる。また質疑を通して、労災認定基準の拡大に向けて何が障壁となるのか、論点を整理し、最終的に抜本的拡大の必要性を認めさせなければならない。
昨年11月26日の交渉を踏まえて、下記の申し入れおよび追加質問をします。
2011年2月17日
1.業務上外の検討に関して
①申し入れ
一般的に、記録されている個人線量に疑問が指摘されれば、記録されている個人線量以外に労働現場と周辺の空間線量率や汚染状況など、個人線量の記録とは一定独立した資料を検討すべきであると考えます。
作業計画、放射線管理のために、これらは測定されているはずです。それによって、本人の労働現場、作業時間等からおおむね被曝線量の範囲が推定されます。
疑義に対する申請者への説明の中には、このような観点からの検討結果が含まれるべきです。
②上記申し入れに対する回答をお願いします。
③関連質問
(i)30年以上前に被曝労働した場合、「個人線量の記録」とは一定独立した上記のような現場 の記録は残っているのか、厚労省はどのように把握しておられますか。
(ii)30年以上前の記録が残っていないとすれば、いつからの記録が残っていますか。
(iii)上記の(i)、(ii)が原発ごとに状況が違っている場合は、それも含めてお答えください。
2.健康管理手帳の交付に関して
2010年2月8日の第1回交渉で、「線量限度を超えた場合の交付」に触れた回答がありました。その後、どのように検討されているのでしょうか。
資料 2010年2月8日の厚労省回答
健康管理手帳の交付対象の基本的な考えというものは、がん等の重度の健康影響の発生のリスクが高く、今後もその疾病の発生が予想されることなどとしております。放射線業務に従事しているかたについては労働安全衛生法および電離放射線障害防止規則によって被曝限度を超えないようにする事が事業者に義務付けられておりまして、その根拠としては被曝限度を超えない場合には健康障害の発生リスクが低いことが国際的にも認められているということでございます。このため法令に基づく被曝管理を徹底させる事が重要だと考えておりまして、放射線業務については現在国際的な勧告の国内法令取り入れが審議されているところであります。この中で健康診断についても議論されているということでございますので、被曝限度を超えた場合の健康管理手帳の交付などの放射線業務に係る健康管理についてはこれらの審議の動向等を踏まえて検討することが適切であると考えてございます。
原水爆禁止国民会議、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、反原子力茨城共同行動、双葉地方原発反対同盟、関西労働者安全センター、原子力資料情報室、ヒバク反対キャンペーン
2010年2月8日提出の「申し入れ書」の「電離放射線業務の労災認定例示疾病を大幅に拡大すること。がんについては、すべてのがんを対象にすること」に関する質問書
2011年2月8日
厚生労働大臣 細川律夫様
労災を申請する際、その疾病が労災対象疾病として例示されているか否かは、当事者や相談を受けた医師などの判断材料の1つとなります。例示されていない疾病の場合、申請しても不当な扱いを受けた事例があります。また、結果が出るまで数年にわたることが多く、申請者に大きな負担となります。
私たちは、疾病の例示の拡大は労災認定の高い障壁を下げる大きな意義を持つと考えます。
原爆被爆者の長期にわたる追跡調査などにより、「がん」の放射線起因性が明らかにされてきました。2008年度から原爆症の積極認定の対象は?悪性腫瘍(固形がんなど)、?白血病、……となっています。しかし労災補償に於いては、労働基準法施行規則35条の電離放射線業務の例示疾病は「がん」については「白血病と6種の悪性腫瘍」にとどまっています。
労災補償についても「全てのがん」が対象疾病であることを労規則35条に明記することが必要と考えます。下記の質問事項に対する質疑を通じて論点を整理し、被曝労働者・JCO臨界事故被害者の救済に向けて前進したいと思いますので、よろしくお願いします。
質問事項
1.原爆症認定の「新しい審査の方針」は、積極認定の対象を①悪性腫瘍(固形がんなど)、②白血病、……としています。「審査のイメージ」では自然界の放射線(1mSv)を超える放射線を受けたと考えられる人が発症した場合としています。
私たちは厚生労働省が白血病と悪性腫瘍の放射線起因性を認めていると理解していますが、それでよいですか。
2.一方、電離放射線業務の労災補償においては、「がん」についての例示疾病は「白血病と6種の悪性腫瘍」にとどまっています。それはなぜですか。
3.業務上と認定された事例を検討して例示に加えるという現在の方針を改め、すみやかに放射線業務の「がん」について、現行の「白血病と6種の悪性腫瘍」を「白血病と悪性腫瘍」に改めるべきであると考えますが、どうですか。
原水爆禁止国民会議、原発はごめんだ! ヒロシマ市民の会、反原子力茨城共同行動、双葉地方原発反対同盟、関西労働者安全センター、原子力資料情報室、ヒバク反対キャンペーン
連絡先 渡辺美紀子(原子力資料情報室)TEL:03-3357-3800
建部暹 (ヒバク反対キャンペーン)TEL:0790-66-3084