CNICブリーフ「消費者負担で原発補助金―長期脱炭素電源オークションとその問題」
2023年度から容量市場の一部として長期脱炭素電源オークションが開設されました。電源の脱炭素化に必要だとして導入された市場ですが、非常に複雑な制度のため、消費者が理解できないまま巨額の負担を背負わされることになりかねません。このレポートでは、原発を中心に長期脱炭素電源オークションの問題点をまとめました。
概要
- 2023年度長期脱炭素電源オークションの調達量は脱炭素電源が401万kW、LNG専焼火力が575.6万kW。この取引によって発生する費用の総額は年間4,102億円、平均制度適用期間(25年間)の累積費用は10.2兆円となる。落札した発電事業者に渡るこの費用は最終的に電力消費者負担となる。
- 2023年度オークションでは中国電力島根原発3号機の取引が成立した。平均価格で推計した場合の中国電力の年間収入は766億円、平均制度適用期間25年間では1.9兆円。売電によって得られた収益などを9割還付する必要があるため実収入はこれを下回るが、卸電力市場価格が平均7円/kWhの場合、推定収入は1兆円になる。
- 将来的な長期脱炭素電源オークションの調達量は年1.2億kW。2023年度約定価格から推計すると、総費用は2050年時点で年間7兆円程度。2024年から2050年までのオークションによる累積費用は70兆円を超える。全額が消費者に転嫁された場合、一般家庭の1年あたり負担額はおよそ3万円に。
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